【インタビュー】1MC+1ギターの異形ユニット・Kannaはどこから来てどこへ行くのか。往年の名曲をサンプリングした新曲までの歩みを訊く

【インタビュー】1MC+1ギターの異形ユニット・Kannaはどこから来てどこへ行くのか。往年の名曲をサンプリングした新曲までの歩みを訊く

【インタビュー】1MC+1ギターの異形ユニット・Kannaはどこから来てどこへ行くのか。往年の名曲をサンプリングした新曲までの歩みを訊く - Photo by イノコシ ゼンタ/courtesy of SUMMER SONIC 2025Photo by イノコシ ゼンタ/courtesy of SUMMER SONIC 2025

僕僕ら世代がみんな知ってる曲だとやっぱりFLOWの“GO!!!”で、マジで僕の同級生を適当に集めてもほぼみんな歌えるんじゃないか?って(Nouchi)

──『Music 1』が今年の春の作品ですけど、今回の“ヤング・ムーヴメント”ではまたサンプリングという新たな試みをしていて。Nouchi サンプリングして曲を作ってみたら面白いよねっていう、本当に軽いノリから始まって。その中で何をサンプリングしたかがちゃんと伝わったほうが面白いから、自分たちの世代のルーツにしようと思ったんですよ。音楽のルーツって人によってバラバラですけど、過ごしてきた、育ってきた世代の共通項としてのルーツも何曲かあるよねっていう。僕ら世代がみんな知ってる曲だとやっぱりFLOWの“GO!!!”で、マジで僕の同級生を適当に集めてもほぼみんな歌えるんじゃないか?っていう。何曲か候補はあったんですけど、その中でKoshiが入れてきた“GO!!!”がいちばんハマりそうだねっていうことで決定しました。──サンプリングってヒップホップでは珍しくない手法ですけども。Nouchi なんなら今がちょっと少なくなってるだけで、昔って何かをサンプリングした曲も多かったし、僕目線では全然普通のことだったんですけど、Koshiは苦戦してた印象がありますね。Koshi めっちゃしました。──そうなりますよね。原曲に入ってるギターとの兼ね合いとか。Koshi 印象的なところはそのまま持ってきたかったし、ギタリストとしてあのリフはどうしても活かしたくて。だけどカバーじゃないんで、自分たちの良さもフレーズとしても組み込まなきゃいけない。そのバランスが難しかったです。──でもこのギター、いいですよ。重量感でいうとわりと軽めだけどしっかり立ってる感じで、曲がヘビーになりすぎない。Koshi “GO!!!”自体、使ってるフレーズとしてはヘビーに聴こえてもおかしくない動き方をしてるんですけど、メタルやラウドに聴こえるかっていったらそんなことなくて、ちゃんとポップに聴こえる。そこの良さをうまく活かしたかったので、そう言ってもらえて安心しました(笑)。

──言葉の部分はどう書いていったんですか?Nouchi この曲に関してはREC日まで歌詞を書いてて。Koshi 今までなかったもんね、そんなの。Nouchi 《"とりあえず"大学に進学》からのヴァースは、わりと細かいことを言えるんで世間との共通項を見つけやすかったんですけど。サビでよりポップさもありつつ盛り上がってる感じの歌詞を考えるのが、本当に難しくて。デモの状態だとちょっと真面目すぎるというか、かっこいい寄りだなと思ったので、逆にもう変なこと言ってやろうと思って。Koshi 偏差値が15くらい下がってるよね。Nouchi (笑)。いや、僕の中では結構上がってんのよ、偏差値が。やっぱりふざけられるやつっていちばん頭いいと思うんで。Koshi 確かにね。Nouchi 今はSNSとかでいろんな情報を手に入れられるじゃないですか。それを鵜呑みにしてみんな真面目な方向へ行っちゃったりとか。──知ったようなことを言えちゃうというか。Nouchi 言えちゃうからこそちょっとバカになってみるくらいのほうが、一個肩の荷が下りるじゃないけど、気にせずに前へ進んでいけるよなっていうメッセージの曲にしたかったのもあるんで、ここに行き着いたというか。だいぶ捻り出しましたね。──まず耳から入ってきて気持ちいいという前提をクリアしたうえで、文字で見た時に伝わるメッセージとか想いもあって、よくわからない部分もちゃんとある。Koshi 余白がありますよね。Nouchi このよくわかんないところは、よくわかんないままでいいなという考え方です。……改めて見ると変だもんなぁ(笑)。
【インタビュー】1MC+1ギターの異形ユニット・Kannaはどこから来てどこへ行くのか。往年の名曲をサンプリングした新曲までの歩みを訊く - Photo by yuri horiePhoto by yuri horie

コンプレックスとか環境とかをあえて武器にしてセルフボーストしてく文化を、もうちょっと大衆的に言えないかな(Nouchi)

──特に渾身のラインはここだった、とかあります?Nouchi えええー!? どこだろうな……Koshi的にどこだと思う?Koshi 僕がこの曲で毎回いちばん耳に入ってくるのは《バビロン的バリを取りバリオン》。これ、ラッパーじゃないと出せない語感の気持ち良さがあって、すっごい言いたくなる(笑)。あとは1ヴァースは頭から終わりまで入ってきますね。僕は四大の経済学部に通って3ヶ月だけ就職もしてたんで、そういう人生とも重なる部分があるいい言葉だと思ってました。……さて、見つかりましたか、渾身の1ライン。Nouchi 僕は《カビたティッシュも誇りゃNew Art》です。──おおー。Nouchi ちょっと下ネタ的なニュアンスも入れたいなと思って、結構スタッフチームとも相談して、消されてしまった部分もあるんですけど(笑)。まあ、自分のダサい部分とか泥臭い部分も誇っていったら新しいアートになるよっていう、ヒップホップ的な捉え方で書いてみたというか。いわゆるコンプレックスとか環境とかをあえて武器にしてセルフボーストしてく文化を、もうちょっと大衆的に言えないかな?というところで。いちばんのパンチラインはそこかなぁ。──いいですねえ。もう1曲の“ルックアヘッド☆ジャンプ”はどんなふうに作っていったんですか?Nouchi これは逆にほぼデモから変わってない。Koshi マジでシンセとか使ってない本当にシンプルなバンドサウンドですけど、僕らの原点としてはやっぱりそこで。シンセやピアノ、いろんな楽器を使った最新“ヤング・ムーヴメント”との対比を詰めたくて、ラフにシンプルなサウンドを作ったらNouchiがいい感じに歌を入れてくれたっていう。──西海岸のポップパンクとか、そういうノリですよね。Nouchi Kannaを始めてからいろんな音楽を聴き始めた中で、西海岸のパンクスとかをめっちゃ聴いてる時期とかあったんで。あっちの音楽って、歌の情報量がめっちゃ少ないじゃないですか。──1番と2番で同じこと歌ってたり。Nouchi ざらにありますよね。だからこの曲も情報量少なくていいかなって(笑)。……ディズニー(シー)にあるソアリンっていうアトラクションに乗ったことだけを1曲にしました。だからデモができた段階で、ソアリンに乗ってる一人称視点の動画も貼って送ったんですけど、誰も反応してくれなくて(笑)。Koshi ごめん。マジでそのリンク見てなかった(笑)。──この2曲が新しい出会いにも繋がると思うんですが、この先としては?Koshi 今年はすごく変化の多い年だったと感じてて。今回のリリースでもサンプリングを新しく取り入れたり、活動が大きくなるにつれてどんどん自分たちの環境も変わっていってますけど、僕らはいちばん等身大でリアルなところをずっと伝えていきたいです。やってる音楽もこれから先どんどん変わっていくと思うんですよ。今はポップなことやってますけど、そのうちめちゃくちゃ聴きづらいプログレになるかもしれないし(笑)。Nouchi マジであるな。Koshi 変わっていくのが僕らであって、そのリアルをずっと表現していきたいので。来年以降も新しい取り組みをいろいろやるだろうけど、根底にあるのは自分たちが表現したいことと、より多くの人を楽しませたい、喜ばせたいというところなので、期待して見ててくれたらなって思います。Nouchi 本当にKoshiが言った通り、Kannaの音楽は変わっていくと思うので。なんならまだ構想段階ですけど、僕にはその変わっていく先のイメージもなんとなくはあって。その変化をみんなには楽しんで聴いてほしい。それにこのヘンテコなリリックの中にもちゃんと、考察したり発見する余地をちりばめてたりするので、そういう楽しみ方もありなのかなって。Koshi ただただふざけてるわけじゃないっていうね。──おふざけの奥がちゃんとある。Nouchi そういうリスナーの人がどんどん楽しくなっていくような音楽作りを、これからもしていきたいです。
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