【インタビュー】「お茶の間に届く音楽」を目指しながら「目の前のあなた」に向き合うポップユニット・harha。観る者を熱くさせるライブ、そして新曲“素描”へと続く結成からの3年を語る

【インタビュー】「お茶の間に届く音楽」を目指しながら「目の前のあなた」に向き合うポップユニット・harha。観る者を熱くさせるライブ、そして新曲“素描”へと続く結成からの3年を語る - photo by Victor Nomoto (Metacraft)photo by Victor Nomoto (Metacraft)

ワンマンライブをやっていく中で、「楽曲とリスナー」という関係性が、「曲を作っている僕らとお客さん」という実体を伴うものに変わっていってる(ハルハ)

──3月の1stワンマンまで、あまり活発にライブを行ってこなかったのは何か理由がありますか?

ハルハ そもそもライブに対してどう向き合うかを考えていなかったんですよ。ライブでリスナーと積極的にコミュニケーションを取っていくというより、楽曲を発表してそれを聴いてもらえたら万々歳というか。

──それが今年のワンマンで変わった?

ハルハ 変わったよね。

ヨナべ うん。

ハルハ harhaとしてライブを始めるにあたって、最初は僕らのパーソナリティをあまり出さないようにしようと思っていたんです。でもワンマンライブをやっていく中で、「楽曲とリスナー」という関係性が、「曲を作っている僕らとお客さん」という実体を伴うものに変わっていってる実感が湧いてきて。harhaというユニットだけではなく、ハルハとヨナべという個人としての僕らにも目を向けてもらっているんだなと。

──そうなるとライブでの表現も変わりますよね。

ハルハ そうですね。曲作りも変わってきた気がします。実際にライブでお客さんと向き合うと、「ああ、この人たちが実際に僕らの曲を聴いてくれてる人たちなんだ」って、概念じゃなくて実体として見えるわけで。じゃあもう「この人たち」に向けて曲を作りたいと思ったんですよね。今まではいわゆる「世間」みたいな広いところに届けようと思っていたけど、具体的な「この人」というのを実感できるようになったというか。

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──私も初めてワンマンライブを観て、予想していたよりもっとパーソナルな温度感のある、それぞれのキャラクターがしっかり出るライブをするユニットなんだなと驚いたんですよ。すごく有機的なエネルギーが生まれていて、ファンもそれを受け取って思い切り楽しんでいて。

ハルハ でもこれはほんとに観に来てくれたお客さんのお陰でもあると思っていて。1stワンマンのときは、お客さんは手を上げてくれるのかなってずっと心配してたよね。

ヨナべ うん。「ずっと静かに聴いてくれているかもしれないパターン」も想定してたね。

ハルハ それが実際にステージに出てみたらもう──。

ヨナべ すごかった!

ハルハ いっぱい声を聞かせてくれて。そんなに楽しんでくれるんだったら、僕らももっと楽しませていこうみたいな気持ちになれました。

ヨナべ 1stワンマンのとき、ステージに出た瞬間にみんながわーって声を上げてくれて、この中で私たちがいちばんライブ慣れしてないんじゃないかってくらいお客さんがすごかったんです(笑)。そのときはパーフェクトにやらなければいけないという想いが強くて、一人ひとりの顔を見ることができなくて。最後らへんに「ああ、こんなにたくさん来てくれてたんだな」って思うのがやっとだったんですけど、この前の2ndワンマンではもう「全員の顔を覚えてやろう」くらいの気持ちでライブに臨めました。

──そのライブでも告知された、次のワンマンがZepp Shinjuku。次回は「キボウカクメイ」というタイトルのライブになりますが、どんなライブにしたいですか?

ハルハ 「ミライサイライ」「オトナタイコウ」ときて、次が「キボウカクメイ」。この「キボウカクメイ」は、harhaチームとしてなんとなくひとつのエピソードのエンディング的な気分があって。ライブを始めたharhaのひとつの区切りみたいな、これまでの集大成的なものになるかなって。今までできなかった演出も、全部やってやろうという気になっています。

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せっかく歌うのが楽しいんだから、もっといろんな歌い方で遊べたらいいなって、最近はすごく思っています(ヨナべ)

──そして、10月13日に新曲“素描”がリリースされます。これはドラマ『すべての恋が終わるとしても』のオープニング曲として書き下ろされた、ストリングスとピアノが胸に沁みるバラード。ヨナべさんの歌声の深さに引き込まれました。

ヨナべ ドラマの台本を歌録りの直前に読み切ったんです。なので、完全に『すべての恋が終わるとしても』の世界観で歌いました。連続ドラマのタイアップは今回で2回目なんですけど、曲の世界に入りやすくて。作品のストーリーを事前に頭に入れた状態で曲を見ると、より「ハルハくんすごい」って思いました。ストーリーと曲がすごくガチャッとはまるので、歌うときに感情を込めやすかったです。

ハルハ この曲に行き着くまでに10曲くらいボツになってるんですよ。

ヨナべ えっ、そうなんだ!

ハルハ 最初に1〜2話の台本をいただいて曲を作ったんですけど、そのあとで3〜4話のぶんをいただくと「ああ、ちょっと話が変わってくるな」と思って作り直して。で、最終話が届いた段階でも「あ、今までのじゃだめだな」って、またイチから書き直したんです。締切ギリギリの完成になったんですけど、作っていくほどに洗練されていったように思います。


──“素描”というタイトルも物語に寄り添っていますよね。

ハルハ 僕、高校のときは美術部で、芸大も目指していたんですよ。だからドラマの主人公たちの気持ちも「わかるなあ」って共感できて、曲は書きやすかったです。自分が過去に考えていたことや想いみたいなものもうまく馴染んだなと思って、歌詞を書き終わったあとの「できた!」という手応えもいつにも増して強くて。ピースがはまったなって思いました。

──「お茶の間に届ける」ということでいえば、こうしたタイアップ曲はその理想に沿うものでもありますよね。

ハルハ たとえば「アーティストのことはよく知らないけど、この曲は知っている」という状態はすごくJ-POP的だなと思うんですよね。こういうタイアップで曲が聴かれていくのはそれに近い気がするし、そうなっていくといいなと思っています。ありがたいです。

──《「最初で最後」という大それた言葉にも/今は意味があると思います/それがあなただと信じています》と歌われていて。ある意味究極のラブソングですよね。

ヨナべ 歌を聴いて物語をすごく想像できる曲だなと思ったし、悲しくて泣いちゃうってなったときもこの曲を聴いて思い出し泣きしてほしいなって思いましたね。

ハルハ この歌詞を書くときに思っていたのは、物質的なものではなくて風景を描きたいということで。たとえば「置き去りになった歯ブラシふたつ」とかではなく、ほんとにふとした瞬間に訪れる景色に、より深い愛が生まれるのかなって。恋人じゃなくても、幼馴染とか、おじいちゃん、おばあちゃんとか、そういう人といた景色をふとした瞬間に思い出すことが僕にもあるんですけど、そういうのがこの歌になればいいなと思っています。

──最後に、harhaはこの10月7日で活動3周年を迎えたわけですが、この先はどんなビジョンを思い描いていますか?

ハルハ harhaは、ポップスに向き合い続けて、それを広げていくことを第一に考えて始まったユニットなので、これからもより多くの人に聴いていただくことを最優先にしたいです。ただ、さっきも話したように、ここ最近の曲作りでは「この人に向けて」というのが見えるようになってきたこともあって、それをもう少し突き詰めていきたいなというのはあります。ライブをやって初めて、この曲はこういうふうに聴いてもらえているのかと感じたりもしていて──ライブ中に泣いてくれてる子もいるんですよ。自分が作った感覚では泣くというより寂しくなるみたいな温度感の曲だと思っていたんですけど、聴いてくれる方の心情によって響き方は変わるんだなってほんとに肌で感じて。それをふまえて、もっと曲作りを練っていけたらなと思ってますね。

──ライブで演奏するとharhaの曲が「あなたの歌」になっているのを実感できるということですね。

ハルハ そうです。「まさかこんなに盛り上がってくれるとは」「みんなめっちゃ跳んでるやん」って(笑)。そういう景色を見て、また新たな曲を作っていくというチャレンジの繰り返しですね。

ヨナべ 自分の歌い方はめちゃめちゃ「私」だなって思うので、歌い方があと10個くらいほしいです。せっかく歌うのが楽しいんだから、もっといろんな歌い方で遊べたらいいなって、最近はすごく思っています……ハルハくん、いろいろ作ってください!

ハルハ いろいろ作るよ!(笑)。大丈夫、曲はいっぱいあるから。

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