【インタビュー】SUPER BEAVERが人生のど真ん中で見つけたもの──新たな名曲“主人公”と“まなざし”を語る!

【インタビュー】SUPER BEAVERが人生のど真ん中で見つけたもの──新たな名曲“主人公”と“まなざし”を語る!

“主人公”は名曲。ここから先もずっと付き合っていくことになるんじゃないかっていう曲だと思う(渋谷)

──今回のもう1曲、“主人公”はまさにそういうことを歌っていると思うんですよね。これ、本当にすごい曲だなと。

渋谷 これは名曲ですよね。もちろん柳沢が書いている曲ってすごくいいものばっかりだし、どれにも感動しているのは間違いないですけど、でも理屈を超越してくる瞬間がたまにあったりするんですよ。勝手に運命めいたものを感じちゃうっていうか。「おお、すっげえ!」みたいな。これは一発で思えたっすね。ここから先もずっと付き合っていくことになるんじゃないかっていう曲だと思う。

──それが朝の番組で流れるっていうこともそうだし、ホーンが入ってたりするっていう新鮮さも含めて、この音でこれを歌うっていうことの重大さはすごくあるなと思う。これ、『めざましテレビ』側からは最初どういうオーダーがあったんですか?

柳沢 最初は番組のプロデューサーの方とお話しして。ざっくり言うと昨今、朝って非常に億劫になる人が多いっていう。だから曲のオーダーとしては、強く背中を押すような歌ではなく、寄り添えるような歌がいいみたいなことを言われたんです。でも俺がそこで思ったのは、一方の視点だけで曲を作ることは絶対できないなって。たとえば小学生だったら待ちに待った運動会の日の朝かもしれないし、遠足の日の朝かもしれない。遠距離恋愛してる人だったら、3ヶ月ぶりにようやく会える朝かもしれない。でも同じように、絶対今日は会社に行きたくないっていう人もいるのも事実だし、「何も変わらねえな、気づいたら朝か」みたいな人がいるのも事実であって。それをどうやって表現すればいいんだろうというのはその瞬間にはまだわかってなかったですけど、とにかく、ちょっと沈み込んだ人の気持ちをそっと押すだけではなく、そもそも嬉しい人に対しても「おめでとう」って感じになれるような曲にしたいな、みたいなことは最初から思ってました。

──おっしゃる通り、人それぞれの朝があって、その感じ方っていうのは、100人いたら100人とも違う。

柳沢 うん。──どこまで言っていいかわからないけど、サプライズでオファーをいただいてから、いろいろなサプライズがあったんですよ。

──うん。こちらで勝手に補足すると、フジテレビにまつわる問題のことですよね。

柳沢 あれはやっぱり正直、こうやって喋っていても避けては通れない道のりで。めちゃくちゃ言語化するの難しいんですけど……ああいうのがあったからこそ、より一層「それで、おまえの今日はどうなの?」「俺の今日はどうなの?」って思ったと言うか。それをそのまま曲にしたいわけじゃないんだけど、そういうのをいっぱい考えてこういう曲になったんですよね。すごくドライなことを言うと、自分の顔がリアルタイムで見えない以上、俺の世界の中心って「ここ」にしかなくないですかってすごく思うんですよね。どうあっても自分の人生であって、「自分は脇役だ」とか「自分は主人公になんかなれない」とかそういうことじゃないっていう。しんどい意味でも「そこからは逃れられない」ということは今一度歌えるんじゃないかなってぼんやり思っていました。


《救いのある日々を願った歌》っていうのが出てきたときに、いちばん絶妙に言いたいのは「これだ」って思った(柳沢)

──この曲では《世界の中心は 何時だって自分だよ》って歌うけど、それはお題目でも美談でもないっていう。

柳沢 そう。決して「大丈夫だよ」っていう意味だけで言ってるわけじゃない。

渋谷 僕、《世界の中心は 何時だって自分だよ》の一節だけで展開されていく歌はあまり好きではなくて。自分たちの活動の中でも、そうじゃなかろうっていうのはずっと思ってたし。でもこの曲は、しっかり読み取ってくれれば、そのワードを使いつつも明確に表せてる。「脇役になっちゃってる自分はよくない」みたいなのって、ちょっとあるじゃないですか。でも、「人と生きてるってそういうことである」というのを理解しておくべきだなって思っているんですけど、それをしっかりと落とし込めたなって思うし、理解してもらうにあたり、強引じゃない感じがいいなって。

──そう、力業じゃないんですよ。《世界の中心は 何時だって自分だよ》を正しく伝えるためには、そこまでですべてをちゃんと言わないといけないし、それをこの曲はやり切っている。

柳沢 そうですね。《救いのある日々を願った歌》っていうのが出てきたときに、いちばん絶妙に言いたいのは「これだ」って思った。「君は大丈夫」とか「俺たちは変われる」とかそういうことじゃなくて、変われないかもしれないけど、ちょっと救いがあるだけでまだやれる可能性があるということなんです。これが見つけられたのは、嬉しかったですね。

──僕、この曲を聴いてすごい思い出したのが、前にヤナギが言ってたのかな、ぶーやんが「これだけたくさんの人がいて、誰ひとり被ってないんだ」って言ったときにハッとしたって。

柳沢 うん、大阪で。

──この曲で歌ってることはまさにそういうことじゃないですか。誰ひとり被ってない人たちのことをちゃんと掬い上げることができるのかっていう。

柳沢 そう、だからとにかく想像はしたんです。でも想像は想像の範疇を超えないから、決めつけることができないって思うんですよね。年齢もあると思いますけど、どういうふうに人と人が成り立って関わってるのか、それって狭いチームの中でもあるわけだからって、より一層考えるようになってきてる。

渋谷 しかも──これは圧倒的な変化だと思うんですけど、10年前と今だと、今のほうが僕ら、すごく優しくされてると思うんですよ。いろんな人に。すごく言い方が悪いですけど、丁寧に扱われてるし、イエスマンが本当に増えてるんですよね。俺は本気で怖いなと思ってて。自分が発信したことを、脳みそを使わずに「そうだね」って言ってくれる人がマジで増えてる。だって、SNSで何かつぶやけばみんな賛同してくれるんですよ。

──「いいね」が付くからね。

渋谷 よくないっすよ。俺が考えて言ってることなんて、あんたが考えたら絶対ちょっと違うに決まってるって思っちゃうんですよ。それを常に思っておくべきだなって感じてます。


ヘア&メイク=madoka


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