【インタビュー】新体制のthe telephones、全19曲収録のフルアルバム『Life Is a D.A.N.C.E.』リリース! 「人生とは踊ること」の背景にある想いとバンドの進化を石毛輝が語る!

【インタビュー】新体制のthe telephones、全19曲収録のフルアルバム『Life Is a D.A.N.C.E.』リリース! 「人生とは踊ること」の背景にある想いとバンドの進化を石毛輝が語る!

1回、全部自分でやってみないとわからないことってある気がしていて。逃げ道を塞ぐことで、強制的に進化させられるような実感がある


──いただいた資料には、「あくまでフロアをただエモーショナルに踊らせたいだけである」とも綴られていますね。

俺は音楽の起源とかを考えるのが好きなんですけど、日本でもお祭りがあるわけだし、やっぱり本質は「踊ること」なのかなと思うんですよね。特に自分は「泣き踊り」みたいな音楽が個人的な嗜好としてすごく好きなんです。それはテレフォンズでずっとやってきたことだし、今はそれをさらに突き詰めようとしている感じですね。

──たとえば、リファレンスの中に名前が出ているCharli XCXは、自分自身の出自がレイヴカルチャーにあることを強調し続けていますよね。今回のテレフォンズの方向性的にも、「踊らせる」という軸は今までと変わらないまでも、よりフロアライクなものへと変化を遂げていると言えると思います。石毛さんの中で、クラブカルチャーへの親しみというのはどのように芽生えているものなのでしょうか?

クラブの連中のほうがフラットに、音楽だけで接することができる気がするんですよね。特に日本だと、ロックのフィールドは人間力が強い人が多い印象があって。クラブにいる人ももちろん人間力は強いんだけど、それ以上に音楽愛が強いので、音楽の話がしやすいんですよね。もちろん、どちらのシーンも大好きなんですけど、純粋に機材の話をずっと続けられるのはクラブカルチャーの人なんです。特に今、俺はミックスやマスタリングまで自分でやっているので、いかに頭の中に鳴っている音を劣化させることなく音源化させることができるか?ということを考えるんですけど、そういう話はクラブシーンにいる友達とするほうがクリアになることが多くて。

──なるほど。

ただ、ステージ上での立ち振る舞いのような話をする時はロックシーンにいる友達と話したほうが気づくことは多いです。この間、THE BAWDIESのライブに出た時の打ち上げでも、そういう話になったりしましたね。もう10年以上前ですけど、9mm (Parabellum Bullet)の(菅原)卓郎に怒られたことがあって。当時はまだテレフォンズはメジャーデビューして2年くらいで、小さいライブハウスのノリでライブをしていたんです。そうしたら卓郎に「その規模でそんなライブはしないほうがいい。もっと堂々としなよ」とバシッと言われて。そう言ってくれる友達がいてよかったなと思います。ふざけたノリでライブをしていたのって、照れとか、ミスった時の言い訳をするためとか、守りに入っているがゆえなんですよ。そういうことじゃなくて、責任を持ってライブをやらなければいけない。そういう想いはロックシーンにいる人たちが強く持っているものだと思うんですよね。なので、自分はロックシーンにもクラブシーンにも両方に友達がいることが恵まれているなと思うし、その両方のいいところが今は出ている気がしますね。

──ミックスやマスタリングの話も出ましたが、今作『Life Is a D.A.N.C.E.』も、レコーディングからミックス、マスタリングまで石毛さんの名前がクレジットされていますね。

1回、全部自分でやってみないとわからないことってある気がしていて。逃げ道を塞ぐことで、強制的に進化させられるような実感があるんですよね。最近は「ミキシングまで作曲だな」と思っているし、今回のアルバムは1曲目(“Go Bananas!!!”)を最後に作ったんですけど、いいバランスでミックスはできたなと思っています。音色を深く知ることができたことで、「作りたいけど作れない」ということがほぼなくなりましたね。

【インタビュー】新体制のthe telephones、全19曲収録のフルアルバム『Life Is a D.A.N.C.E.』リリース! 「人生とは踊ること」の背景にある想いとバンドの進化を石毛輝が語る!

つまらないことに抵抗したい。つまらないことに対して、「人生そういうもんだから」なんて思っちゃったら、そのまま終わっちゃうので


──新体制として最初にシングルとしてリリースされたのが、今回の『Life Is a D.A.N.C.E.』のラストに収められた“Keep on Dancing!!!”ですよね。この曲の歌詞は、新しく始まっていくテレフォンズの宣誓のようであり、同時に聴き手を鼓舞するような質感も持っていますよね。そして、この感覚はアルバム全体に言えるものでもあると思います。

ファンも一緒に歳をとっているし、この時代の40歳ってみんな不安になると思うんですよ。俺はハイスタ(Hi-STANDARD)の歌詞がすごく好きなんです。中3から高1の頃にめちゃくちゃ聴いていたし、未だに大好きで、歌詞も覚えている。あの頃の自分はハイスタにめちゃくちゃ元気をもらっていたと思うし、ちゃんと歌詞を書くなら、そうやって人を鼓舞する歌詞を書きたいんですよね。そういうタイプの曲でなければ、いい感じにふざけて書いちゃうんですけど(笑)。

──歌詞の面で言うと、たとえば“ALL SHIT”には、映像を喚起するような、詩的な日本語詞が綴られていますよね。

日本語でちゃんと勝負したい、という気持ちがあるんですよね。「海外でも頑張りたい」という気持ちがあって、デビュー時からずっと英語だったんですけど、時代も変わり、今は日本語のほうが海外にも伝わりやすいんじゃないかと思うし、俺は英語がネイティブではないので、日本語で勝負できたほうが自然なんじゃないか?とこの2年くらい思っていたんです。ただ普段日本語の歌を聴かないので、「何が正解なんだろう?」と考えていたんですけど、この2、3年でドミコのレコーディングを手伝うようになって。(さかした)ひかるの歌は日本語で、しかも、最初に聴いた時は何を言っているかわからないような日本語の歌なんだけど、そこに、自分が知らなかった日本語とメロディの絡み方があるような感じがして、かなりヒントをもらっています。あとは、ひかるよりはわかりやすいけど、Tempalayの綾斗もそうですね。このふたりからはかなり日本語のインスパイアを受けていると思う。

──具体的には、どういった影響があると思いますか?

書きたいことを書いて、歌い方で工夫する、というか。今までは逆で、英語から日本語に直していくと、どうしても意味が繋がらなかったり、語呂優先になってしまって、ライブで歌っても魂があまり入らなくなってしまうことが多かったんですよね。そうじゃなくて、魂がちゃんと入る言葉で、尚且つ、耳馴染みのいい日本語の歌い方……そういうものをずっと探していて、“ALL SHIT”を作ったことで、そこにかなり近づけた気がします。“ALL SHIT”が日本語で書けたことで、並行して作っていた“Danger Boy”も日本語にしたんです。

──個人的には8曲目の“2nd Revolution”がとても好きです。バンドミュージックの荒々しさとダンスミュージックの深みが混ざっているようなサウンドで、とても壮大ではあるけど、頭の中をそのまま差し出されているような密度もある、そんな曲だと感じました。タイトルにも、ダンスミュージックの全能感や多幸感が表れていると思うんですよね。

この曲は“2nd Revolution”という言葉が先にあってできた曲なんですけど、当時並行して何曲か作っていて、ボツ曲がほとんどないくらい全部いい感じで作れていたんです。「これ、自分の中で革命がきているな」と思って。それはすなわち「テレフォンズとして2回目の革命じゃん!」と。そんなしょうもないアイデアから出てきている曲ではあるんですけど(笑)。発明というか、「この発想の組み合わせ、今までなかったな!」みたいなことをひらめいた瞬間から、“2nd Revolution”という言葉が出てきたんです。

──それだけ今の石毛さんやテレフォンズの創作意欲は高まっているし、それが作品として結晶化しているということですよね。

そうですね、スランプはなさそうです。今は「どれだけ曲に没入できるか?」ということをやっている感覚があって。昔はステージと日常を分けるようにオンとオフを作っていたと思うんですけど、いつの間にかそれがなくなっていたんですよね。寝起きで歌も歌えるし、寝起きで歌詞も書ける。常に音楽に没頭できるようなメンタルになっている。「作曲モード」みたいな感じで曲を作る友達もたくさんいますけど、俺は日常的に曲を作っておきたいタイプなんだなと思います。日常生活でインプットをたくさんして、いろんな感情に自分をしてあげて、「こういう曲が作りたい」と思えたら、今の自分はそれが作れる。なので、メンタルコントロールが大事になっている気がします。「曲を作りたい」と思えるような生活をすることが大事というか。


──改めて、石毛さんの曲作りの原点にあるものってなんなのだと思いますか?

つまらないことに抵抗したい、ということですかね。つまらないことに対して、「人生そういうもんだから」なんて思っちゃったら、そのまま終わっちゃうので。そう思いたくないという気持ちが、この歳になってもある。それが、俺の曲を作るエネルギーの原点なんじゃないかと思います。

──最後に、『Life Is a D.A.N.C.E.』というアルバムタイトルに込めた想いを教えてください。

19曲もあるので、音楽的な言葉でまとめるのは無理だったんです。じゃあ、今いちばん伝えたいことは何かといえば、「人生は踊ることだ」ということだなと思って。「D.A.N.C.E.」もジャスティスの曲みたいにピリオドを打つことで、その時代を知っている人にはわかるオマージュになっていると思うし、「Life」をつけることで、「歳をとっても踊っていこう」という気持ちもあります。単語からはわからないかもしれないけど、新体制になって、新曲だけしかやらないと公言しているにもかかわらずライブに来てくれる人たちに向けての感謝の気持ちも、ここには込めています。

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