圧倒的に横山節のメロディのアルバムにしたいっていう思いが強かった(横山)
――『Bored?〜』と『4Wheels〜』は、同じ時期に生まれた曲たちをふたつの作品に分けたっていう言い方もできると思うんです。具体的にはどう分けていったんですか?横山 なんとなく目安として、フルアルバムには12曲、ミニアルバムには6曲入れようってみんなで話したんですよ。で、12曲になった時に映える曲と、6曲になった時に映える曲っていうのを意識して分けましたね。やっぱミニアルバムのほうは曲数が少ないから、バラエティに富んでても散漫にはならないと思ったんです。でもフルアルバムは12曲なので、まあ、変わり種の具合にもよるけど、うまくハマる場合とハマらない場合がある。だから、フルのほうには整合感を求めていたのかもしれないですね。音、曲調、テンポとかでも、通して聴いて納得がいくような雰囲気を求めたのかもしれないです。
――今回のフルアルバム、同じ方向を向いた曲を畳みかけているっていう意味では意外とこれまでのアルバムになかった感触があるんですよ。そんなことない? 短いパンクソングばかりだし、歌詞も、そんな奇をてらったものってないじゃない。
横山 そうかもしれないですね。やっぱね、いつも僕はアルバムを作る時に、絶対に遊びっぽいものを入れたくなるんですよ。今回はそれがないんですよね。なんか、まとめたかったんだろうなあ。
――これは俺の勝手な仮説だけど、なんとなくまとめたかったっていうのは、Ken Bandの音楽みたいなものが見えたっていうか、感じられたからなんじゃないかな。今回はとにかくそれをやりたい、みたいな気持ちで作ったところがあるんじゃない?
横山 そうだ。今思い出したけど、部屋ではそんなことを考えていましたね。これをやりたい!ってものをやりたいって。そのしっぽを捕まえるのに、夜中……ずっとNetflix観てましたね(笑)。
Jun 思い出したけど、『Bored?〜』の曲を選んでいる段階で、『4Wheels〜』の1曲目と2曲目に入れる曲は決まっていたんだよね。ああやって曲が畳みかけるようにボンボンってくるようにしたかったこと自体、もう(2015年リリースの前回のフルアルバム)『Sentimental Trash』とは違うものを作ろうとしていたっていうことになるよね。
南 ただ、この形のアルバムってやればいつでもできるっていうか、得意分野なところでもあるわけで。ここ何年かは、遊びでいろんなバリエーションがある曲をやっていたのを、今回は自分たちに素直にやっただけなのかもしれないですね。2ビートのいわゆる速いパンクロックソングって、意外と難しいっちゃ難しいけど、でも、作れますよね。
横山 まあ、いくらでも出てきちゃうよね(笑)。
――今の「作れますよね」、「いくらでも出てきちゃうよね」っていう言葉は、Ken Bandをめちゃめちゃ象徴していると思う。
横山 あと僕、今回はメンバーに曲を持っていく時の元ネタの、自分の中でのふるいのかけ方が今までと違った気がするんですよね。圧倒的に横山節のメロディのアルバムにしたいっていう思いが強かったな。
ちゃんと人前で演奏しないと、聴いてくれる人とシェアしないと、『Bored?~』と『4Wheels~』がどこにも着地しない(横山)
――前回の『Bored?~』はレーベル直販リリースという新しい形をとって、しっかりと会社の収入も守るし、実態のある流通をやるっていう思いも表れていましたが、結果どうでした?横山 お金の面ではそんなに悪くはなかったと思います。ただ、リリースの風景として弱いなっていうのはありましたね。それって、お金に換算できないところで。だから、たぶん通販ばっかやってたんじゃ閉じこもっていっちゃうなっていうのは感じました。手の内のひとつとしてはすごくいいと思うんです。でも、なんで流通の会社があるのか、なんで小売店さんがあるのかって、やっぱ彼らの思いとかがミュージシャンのアルバムに上乗せされて、みんなのところに届くからなんですよね。
――今回は流通に乗るんですね。
横山 そうです。
――サブスクは?
横山 出すつもりです。ただ、時期はちょっとずらすことになると思いますけど。
――それはいいと思います。最後に、Ken Bandは、ライブはどうなるんですかね。
横山 実はやろうと思っています。ストリーミングライブはずっと嫌だったんです、僕が。やっぱりリアルな空気感がないところで装えないと思ったんですよ。もしかしたら観てくれる人は喜ぶかもしれないですけど、僕たちが、バンドが傷ついちゃう。つまんなかったなあ、もうやりたくないなあってなるんじゃないかなって。なんだけれども、やっぱ時間がたって、僕、ふたつ考えることがあったんです。ひとつは、アフターコロナと付き合っていかなきゃいけないっていうこと。もうね、昔のような風景には絶対に戻らないんですよ。まあ、戻ったら奇跡、ぐらいに思っておいたほうがいいかなと。そうしたら僕たちも、ガイドラインの中でライブをやるっていうことを考えていかなきゃいけないわけで。あともうひとつは、ちゃんと人前で演奏しないと、聴いてくれる人とシェアしないと、このふたつの作品、『Bored?~』と『4Wheels~』がどこにも着地しないんですよね。流通に乗せて、みなさんが買って聴いてくれれば、作品はその人のものになるわけですよ。なんだけれども、それを実感できるのは圧倒的にライブなんです。でも、今のところこのふたつの作品に関して、実感がひとつもないんですよね。『Bored?~』を出したけど、その曲たちがどれだけみんなの中に入っていっているのか――こればっかりはSNSとかじゃ実感できない。だから、そのためにもライブをやったほうがいいかなと。だから、今は「SATANIC CARNIVAL 2021」に出ることは決まっているんですけど、そのあとに、数ヶ月遅れのレコ発ツアーもできればなとは思っています。
5月28日(金)発売の『ROCKIN'ON JAPAN』7月号にKen Yokoyamaが登場!