打首獄門同好会の新プロジェクト「VRライブハウス」とは一体何なのか? その全貌に迫るインタビュー!

打首獄門同好会は、今の曲のまま、世界のどこにだって行けるはずなんですよ

――音楽業界全体が、思うように動けなくなっている中、フットワークの軽いインディーズバンドが、面白いことをどんどん発信しているというのは、たくさんの人の励みにもなっているはずですよ。

「そうだったら嬉しいです。こういうつらい時って、本当は、みんな音楽に助けられたいのに、今は音楽業界が『助けて』っていう状況なんですよね。でも、音楽業界の人間の端くれとして、『助けて』しか言えないのは釈然としないものがあって、何かを出していきたいっていう意識もありました」

――新型コロナウイルスに伴う自粛って、新しい手法に目を向けるきっかけを音楽業界全体に与えた面は、ありますよね。

「そうですね。聞いた話によると、宅録できるミュージシャンが急に増えたらしいですよ(笑)。お客さん側も、成長を余儀なくされたところがあるのかもしれないです。ライブハウスにも行けなくなって、CDを買いに行くこともできなくなって、海外のサイトで決済をする機会もあったと思うので」

――VRライブハウスの動画を購入できるVimeoも、アメリカの動画共有サイトですからね。

「これでいろいろ学べるのは、ある意味、チャンスですよ。お客さんが世界基準に対応できるようになると、アーティスト側も世界基準で勝負できるようになるので。お客さんがVimeoとかに登録するということは、アーティスト側は、作ったものを世界公開できるっていうことですから。YouTubeとかもそうですけど、今は世界中から俺たちの作品を観たり聴いたりできる状況になったので、あとは知ってもらうっていう段階なのかなと。『ライブが本格的に再開できるようになるまでに俺は英語も学ぶべきではないだろうか?』っていうことも思い始めてますからね」

――“布団の中から出たくない”のMVに対する海外からの反響もすごかったですし、打首獄門同好会の曲がさらに世界中に広がっていく可能性は、大いにあるでしょうね。

「あのMVで証明されたのは、字幕さえつければ日本語の歌でもいけるっていうことだったんですよ」

――打首獄門同好会のライブは、もともとVJがいますから、それも活かせるのでは?

「そうなんです。VJがいるスタイルの打首獄門同好会は、今の曲のまま、世界のどこにだって行けるはずなんですよ」

10人くらいで成り立ってるプロジェクトです。この超ローコストのインディーズっぷりっていったら、ないですね

――6月19日に第1弾の「スターターパック」が配信されて、26日は第2弾の「タンパク質パック」ですが、今後もコンスタントに増え続けるんでしょうか?

「その予定です。『スターターパック』は、最初なので、まずはベタに、1本のライブっぽくお届けする選曲になってますけど、だんだん何かのテーマに特化していって、パックの名称も、『これってロックバンドのコンテンツなのかな?』ってものになっていくと思います(笑)」

――(笑)。細かい話ですが、1パックが500円って、驚異的に安いですよね。

「恐ろしいくらい少人数でやってるからなんですよ。外部のスタッフは、照明さんだけです。カメラは固定で私物、映っちゃだめなのでローディーもいない、音響1名、照明1名っていうような形ですからね。10人くらいで成り立ってるプロジェクトです。音と映像の編集とか、アップロードを担当してるのもメンバーで、販売サイトの管理は事務所の人(笑)。この超ローコストのインディーズっぷりっていったら、ないですね」

――こういうスタイルで今後も斬新なものを生み出していくんでしょうね。

「そうだといいですね。今までも『何か作るぞ!』って生まれたものばかりでもないんで、いたずらをしていけば、新しい何かが生まれるのかもしれないと思ってます」

――2台のターンテーブルを使ってみたら、「これは面白い!」ってことになって、ヒップホップミュージックが誕生したみたいに、軽いノリの試みって、新しい何かに繋がり得るんだと思います。

「そういういたずらって、実際にやってみた方がいいですよね。今までの我々も、『とりあえずやってみる』っていう雑なアイディアが、武器になっていきましたから。でも、これ以上、何かあるのかな?」

――きっと、何かやるはずのバンドですよ。

「何だかんだで、今回もこうなりましたからね。実は、今年はのんびり過ごすつもりだったんですよ。去年は15周年で忙しかったから、今年はオリンピックの試合を何回か観に行ったりしようかなと。それがこんなことになって、すごく忙しくなってます(笑)」

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