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僕たちはすごい良い曲を書いてるから──全然まだ知られてないから、すごいもったいないなと思って。このまま終わるわけにはいかない
──4月にメジャーに移って、大きく変わったと感じる部分ってあります?
川谷 ……ないっす!
──もともとメジャー志向っていうわけでもなかったですしね。
川谷 まあ、メジャーとかインディーズとかもはや関係ないと思うんですけど。バンドって、一回何かの線を潜っちゃうと、絶対戻ってこれないんですよ。売れてたバンドも、何かのタイミングでガッと落ちたら、絶対上がってこれないし。売れてないバンドも、売れるタイミングとか、出すべきタイミングを間違えると、その後にすごく良い曲を書いても、埋もれちゃったりするんですよ。俺はそれが怖かった——というか、そうなってたんですよ、俺の中ではもう。僕らは普通に良い曲を書いてるつもりで、でも自分のペースがついていってなくてタイミングを逃してたから。『列伝』ツアー(『スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2013』)に出たことによって、他の3バンドと比べられるじゃないですか。やっぱりいちばん凹んでたし、そのタイミングで「売れてない感」みたいなものが見える形になってたのが大きいと思ってて。今回のメジャーの一件で、同時デビューだったりとか、そういうので一回スポットライトを浴びることができて、その時に『あの街レコード』っていう良い作品を作ることができたので。それはよかったかなと思いますね、メジャーに入って。そういうトピックができることで、もう一回フックアップされたっていう。ただタイミングがよかったかなって。
──川谷さんは日々自分の音楽を研ぎ澄ませている一方で、自分たちの音楽がどう伝わってるか、自分たちのバンドがどう見られているのか、ということにはすごく自覚的だし、そうでなきゃいけないっていう意識もたぶん強くあると思うんですよね。
川谷 そうですね。「良いものを作ってるのに売れない」って嘆くのってダサいじゃないですか。売れなきゃ意味がないし、聴いてもらわないと意味がないんですよね。それはバンドをやっていれば誰しも考えないといけない問題で。でも、それは良い曲が書けてるっていう前提での話なんですけど。それを考えてない人が多すぎるから。自分はそうはなりたくないなって思うと、いろいろいいことを思いつくんで。それが今の活動に活かされてますね。
──他のバンドと比較されることも引き受けた上で、じゃあどうするか、何をするかっていうことがより明確になってる感じはありますよね。
川谷 まあ、結果として出た答えは「どうでもいいな」って思ったことだったんですけど。でも、その「どうでもいい」が結構重要で。バンド・シーンとか、ほんとどうでもいいんですよ。できれば自称・音楽評論家の人たちは、音楽シーンについて語るのを今すぐやめてほしいなと思って。そういうのがほんと音楽をつまらなくしてるんで。四つ打ちシーンがどうだとか、フェス・シーンがどうだとか、ほんっとどうでもいいんで。良い音楽を普通に——良い音楽を誰が決めるとかじゃなくて、自分が聴きたい音楽をナチュラルに聴いて、「僕はこれが好きです」って言えるような世の中に、やっぱなるべきだと思うんですよ。この前まで、「バンド・シーンに入っていく」とか言ってたんですけど、そういうのも「俺、何言ってたんだろう?」って(笑)。だから、今回の“瞳に映らない”も、僕たちは良い曲を書いてるから、これがどんどん広がっていけばいいなと思うし。広がるためにやらなきゃいけないことはいっぱいあるから。全然まだ知られてないし、もったいないなと思って。このまま終わるわけにはいかないなと思うし。
──その「どうでもいい」も、周りの声に一切耳を塞いで頑なに「どうでもいい!」って引きこもるんじゃなくて、実際に現場に身を置いて、状況を俯瞰した上で「やっぱりどうでもいい」っていう。その違いは大きいですよね。
川谷 そうですね。結局、自分が好きなバンドの音楽を生でライヴで観た時に、「あ、やっぱりどうでもいいんだな」って思って。良いものはいいし、良くないものは良くない、ってなったんで。良くないものが売れてる、これはなぜなんだろう?とか考えることにも意味がなくて。別に、僕は惹かれないから聴かないし、好きなものは好きでいいかなと思ったんで。だから、自分のバンドも、ほんと好きなことをやるだけ、自分がいいと思ったことをやるだけで。それが共感してもらえなかったら、それは自分の才能がないだけなんで。そこは信じてやるだけですね。
──なるほどね。僕はindigoに関して「グッド・ミュージックを追求すること」と「みんなに受け入れられること」は別のパラメーターとしてあって、今回は「みんなに受け入れられること」の数値が上がったのかと思ってたんだけど、そうじゃないんですね。グッド・ミュージックであることに対する確信が強くなってきたから、ポップな訴求力が強くなってきたっていう。
川谷 そうですね。だから、さっき「自分が変わった」って言ったんですけど、僕が良いって思うものが、そう捉えられるようなものになったのかもしれないですね。受け入れやすくなってると思います、たぶん。でも、僕はそれが好きなんで、それをやってるだけっていうか。「わかりやすい」の中にもいろいろあるんですけど、昔よりは全然開けてるというか、入ってきやすい音楽だし。ハードル下げてるとかじゃなくて、これが4人ともやりたいことだと思うんですよね。
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