アコーディオンをフィーチャーしたメキシカンなイントロから豊潤なカントリー・ロックへ流れ込む“ブレイム・イット・オン・ラヴ”。ラテンの熱風とブルースが高次元で融け合った“ドント・ウォーク・アウェイ”。レゲエ・ミーツ・テキシカン・ロックンロール的なマジックに満ちた“ギヴ・ア・リトル・モア”……約2年ぶり5作目となるロス・ロンリー・ボーイズの新作は、3兄弟のルーツと音楽愛と探究心を伸びやかに咲き誇らせることで、暴走とも焦燥とも無縁なビート感の中にこれまで以上に濃密な躍動感を宿らせることに成功している。さらにビートルズ直系の多幸感あふれるポップ・ナンバー“ゼアズ・オールウェイズ・トゥモロウ”あり、ツェッペリンとジミヘンが手を取り合って踊り回るような“キャント・スロウ・ダウン”あり、華麗なソロとどっしりとした爆音が燃え盛るハード・ロック“ルール・ザ・ワールド”あり……バンドとしての「成熟」を、結果論ではなく最大の武器として3人が定義してその極みを目指していることが、ラストの“エヴリシング・アバウト・ユー”のメロウで美しい音像からリアルに伝わってくる。（高橋智樹）