11年の『King Krule EP』で初めて触れたときには、正直今ひとつ印象の薄いチルウェイヴ・アーティストと思ってしまったのだけれど、このフル・アルバムを聴いて遂にその強烈な個性の輪郭を?み取ることが出来た。キング・クルエルことアーチー・マーシャル、ロンドン出身の19歳。12年にはタイコクラブのタイミングで来日も果たしている。ダークなトラックよりも、オーガニックな響きのサウンド構築とキャリアを重ねたブルース・シンガーの如き歌唱力を前面に押し出し、斬新なギター・ロックをデザインすることに成功したアルバムだ。マタドール傘下のトゥルー・パンサーと、XLレコーディングスの共同リリースというバックアップも鉄壁。
“ア・リザード・ステート”や“ネプチューン”といった楽曲におけるジャジーなアプローチなど、チルウェイヴ/ダークウェイヴの枠組みを軽く逸脱するソングライティングも秀逸で、何より歌モノとして高いレヴェルの統一感をキープしている点が素晴らしい。瑞々しいギター・フレーズと渋いヴォーカルの交錯も見事だ。13年下半期を象徴する作品となるだろう。要注目。 (小池宏和)