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《黒猫が俺に言った/この船は泥舟だ/慌てないで気分はどう?/沈むまでまだ時間はある》(“黒猫のタンバリン”)。アルバム1曲目の歌い出しからこれである。今の世界、今のこの国に生きて絶えず胸に巣食う不安や不信感や苛立ちを、ズバリと的確に表したセンテンスだ。なぜこの人だけがこんなふうに、最短距離で物事の本質にリーチする魅惑的なロックソングを歌うことができるのだろう。約3年4ヶ月ぶりとなる通算23作目のアルバム『日常Days』は、まさに穏やかな日常が大きく揺らぐこんな時代と向き合った全11曲を収めている。ヘヴィ&ダーティなバンドサウンドが鳴り響いているのに、デジタルシングル“鏡よ鏡”や“透明の地図(Album ver.)”を含む多くの楽曲で高野勲が壮麗なストリングスアレンジを手掛けており、危うさと豊かな安定感が不思議と渾然一体になったムードをアルバム全編に敷いている。思いも寄らなかった明日が次々に押し寄せてくる今を、“Sweet Little Sixty”の斉藤和義は駆け抜けるのだ。(小池宏和)(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年10月号より)もしもし、そちらの日常はどうだい?
斉藤和義『日常Days』
発売中
ALBUM





