果てなきピーク・エクスペリエンス

ファクトリー・フロア『ファクトリー・フロア』
2013年09月11日発売
ALBUM
ファクトリー・フロア ファクトリー・フロア
昨年の日本編集盤に続き、海外ではDFAからリリースされるファースト・フル。これまでもシングルを重ねるにつれミニマルな志向を強めてきたが、いよいよ振り切ったなあという印象。個人的には昨年、紅一点ニッキ・コークがスロッビング・グリッスルのクリス&コージーと組んだカーター・トゥッティ・ヴォイドのアルバムに興奮させられたが、その強靭な反復への意志は、ノイズの残響も彼方にハード・ミニマルの境地に到達している。流線形のシンセ・サウンド。幾何学模様を象るビート、うねるベース。サンプリングされたようなひんやりとしたヴォーカル。それらが幾重にもパターンを繰り返しもたらされる持続感/疾走感は、初期のバトルスや近作のにせんねんもんだいにも通じるカタルシスがある。今春のピーター・ゴードンとのコラボではコスミッシェなサイケデリアを創出させたが、アシッド・ハウスとバレアリック、ディスコ・ダブ、ポスト・インダストリアル……を貫通するこのミニマルな通奏低音こそ彼らの本領であり現在のモードなのだろう。ミックスはアフリカ・バンバータとも仕事したティムシー・Q・ワイルズ。 (天井潤之介)
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