熱帯夜が続く。静かにベッドに横になっているだけで、背中にはじっとりと汗が滲み、着ているTシャツが肌に張り付き、シーツや枕はぐっしょり濡れている。しかしよく言われるように、睡眠時ヒトの深部体温は活動時から1度近くも下がっているのである。表面の熱と、内面の低温。寝苦しく、冷えている。このアルバムを聴いたときの感覚はまさにそれだ。どんなにポップなメロディが奏でられていようとも、どんなにテンションの高いアンサンブルが構築されていようとも、どんなにエモーショナルな叫びが聞こえてこようとも、彼女たちのロックは低体温症であり、覚醒と昏睡の狭間から鳴っている。おとなしく寝付けない少女たちは夢うつつのまま、白いネグリジェを着ては裸足で夜の世界をさまよう。このアルバムが10曲をかけて描き出す風景とは、すなわち光のベールを剥ぎ取り暴かれた実像である。半年の活動休止を経て復活した赤い公園は、それを徹底的に直視する。そして、祝福とSOSが同時に響き渡る世界で、《もう一度はじめよう/ぼくらのよる》と歌うのだ。ここから新しい物語が始まっていく。(小川智宏)