新曲5曲を詰め込んだDISC1と、1月に行われた新代田FEVERのライヴから8曲収録したDISC2の2枚組。印象的なタイトルに関して、海北大輔は資料に「あなたの思いが入って、はじめてこの作品は完成します」と記している。確かに、これまでは、彼自身が曝け出される楽曲に、聴き手は共感することで、繋がりが生まれていた気がするが、だが今作は、先に聴き手に向かって差し出されているように見えるのだ。さらに、青い季節を生々しく歌う印象が強い彼らだが、今作では30歳を越えた今を生々しく歌っている。自分の人生と重ね合わると、言葉の数々が染み入り過ぎて、ハッと気付いた。海北大輔という歌うたいの才能や、LOST IN TIMEというバンドの名曲たちは、もっともっと世の中に知られるべきだ――そんな歯痒い思いをずっと抱き続けてきたけれど、説得力も表現力も増した今こそ、機が熟したと言えるのではないだろうか。体調不良で活動休止中の一色徳保（つばき）が作詞作曲するという、粋なコラヴォレーションを果たした“雨が降る夜”も、酸いも甘いも噛み分けた歌の強さを感じる。（高橋美穂）