アリーナにも相応しい音

バンド・オブ・ホーセズ『ミラージュ・ロック』
2013年01月23日発売
ALBUM
バンド・オブ・ホーセズ ミラージュ・ロック
各方面から高い評価を受け、全米7位を獲得した2010年の『インフィニット・アームズ』に続く最新アルバム。いきなり1曲目から、扉を勢いよくノックするかのように爽やかな躍動感が溢れ出てきて、少なからず驚かされた。メジャー・レーベルに移籍し、5人編成の新体制をとってから2枚目、ビートルズやストーンズなど数多のビッグ・ネームと仕事をしてきたことで名高いグリン・ジョンズをプロデューサーに迎えた本作は、現在の彼らが絶好調であることを雄弁に伝えてくる。

味わい深い佳曲を奏でて名を上げた彼らだが、佇まいが普通の人々なせいか、どうしても地味渋系の印象に落ち着きがちで、いわゆる「日本ではブレイクし難い良質バンド」になってしまうのかな……なんて考えたりもしていた。しかし、これだけ曲そのもののキラキラ感☆がアップしてくれば、何かの拍子に(例えばCMとかドラマの主題歌に起用されたりして)熱心な洋楽リスナー以外の一般層へ浸透することも充分に可能だろうという気がする。そんな、ジミー・イート・ワールドみたいな展開を期待したいところだ。オルタナ・カントリーの流れにいるバンドの中でも、彼らのカントリー風味の効かせ方は個人的に物凄くツボで、つまりは日本人好みなんじゃないかとも思う。もちろん全世界レベルでも、今後はR.E.M.のような感じで、さらに存在の大きさを増していくことになるのではないだろうか。

明らかにギアがひとつ上がった感触を持つ本作が、ライヴでは一体どんなモードで再現されることになるのか、2月に決定しているHostess Club Weekenderでの来日も心から楽しみだ。(鈴木喜之)
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