09年にジュリアン・プレンティ名義でソロ作をリリースしたインターポールのポール・バンクス。今年の6月には、J・ディラのカヴァーなどが収録されたEPを同名義で発表したばかりなのに、2作目ではその俗称をあっさりと捨て、本名で発表。しかも題名も『バンクス』ときた。本作は、そんな名義変更が示唆するとおり、いい意味で開き直りが感じられる。前作でもインターポールのフロントマンであるという素性を隠していたわけではないが、でも作品には明らかにそことの距離が感じられ、空っぽの部屋に置かれた赤いソファに座る、メガネ&ヒゲのバンクスというジャケが象徴しているように、モンドでキッチュな嗜好が漂っていた。インターポールの新作のそれと言われたとしても、なにも疑いを持たないだろうアートワークが彩る『バンクス』は、中身もまったくその通り。憂いを帯びたサウンドスケープにファンは喜ぶだろう。ただ、たとえばM3のように、そこに現代的な軽薄なエレクトロ・タッチを施したりしているのが面白い。3作目以降、どうも停滞気味のバンドだが、本作にはその突破口となるヒントが必ずあると思う。(内田亮)