ゴドリッチのレディオヘッドに於ける重要性は今さら強調するまでもないだろうが、さすがに本作も非常にクオリティの高いサウンド・プロダクションを展開している。物憂げな女性ヴォーカルとダウンビート・エレクトロの曲調が織りなすアンビエントなサウンドはポーティスヘッドやボーズ・オブ・カナダを想起させるが、ウルトライスタはそこにドリーム・ポップ／シューゲイザー的な気だるく幻想的なサウンドスケープと、曲によってはアフロ／ファンク的なリズムを加えて、美しく躍動感あふれる奥行きのある世界を作り出している。シンセの音色がよく練られていて、このプロジェクトがじっくりと腰を据えて作られたことを示している。眼を見張るような革新性はないけれども、ウェルメイドな観賞用作品だ。（小野島大）
