4月に実現した待望の再来日公演を観た人もそうでない人も必携の、最新アルバム『アフロディーテ』ツアーDVD。ロンドン、O2アリーナで行われた本ライヴは、基軸となるコンセプトこそ来日公演と変わらないものの、当然ながら規模と演出は破格だ。ギリシャ神話からアラビアンナイト、はたまたヒップホップ、ソウル的インスピレーションまで取り入れたスペクタキュラーは、大衆的で大味になりがちな他のポップ・スターを大きく引き離す品性に貫かれている。これはもう、アリーナ・ツアーの定義を塗り替えるものだ。ペガサスの羽をつけたダンサーの背中に乗って空を飛んだり、ステージに沿って備えられたプールから噴水が撒かれたり、エンターテインメント性においても観る者をあっと言わせながら、美しさと可憐さ、そしてセクシーさを黄金のバランスで体現するポップ界唯一のプリンセス。“~アウトオブ・マイ・ヘッド”のオルタナ・ロック・アレンジはじめ、過去の代表曲サービスの仕方も細やかだ。数々のアイコンが現れては消えて行くなか、カイリーが永遠にトップであり続ける全方位型の表現を噛み締められる、至福の1枚。(羽鳥麻美)