ジャケット・アートワークが狂っていて余りにも美しい。でも、ここまでの作品を作ってくれるなら自分自身へのキスも許される。エド・バンガー究極の隠し刀セバスチャン、ついにデビューALリリースである。別に隠されていたわけではないが、コンピとかリミックスとかの仕事が多い人で、これまではなかなかその全貌を窺い知ることの出来るまとまった作品をリリースしていなかったのだ。昨年のアフィのシングル “ディフィカルト”をプロデュースしていたのはこの人である。
クラシックとヒップホップ、そしてもちろんエド・バンガー印のエレクトロといった彼の背景が、すべての楽曲で偏執的に編み込まれたビート集である。ヴォーカル曲では、最近メジャー契約が発表された天才ソウル・オタク=メイヤー・ホーソーン、そして何とM.I.A.といった顔ぶれが招かれている。ジャスティスのギャスパール参加曲は、上モノのクラシカルで狂った旋律をセバスチャンが手掛けたのだろうか。フレンチ・エレクトロとフライング・ロータスのフリーキー・ビートを繋ぐ傑作だ。サマソニ《エド・バンガー・オールスターズ》でぜひ観てみたい。(小池宏和)
サマソニ深夜、みんな頑張ろう
セバスチャン『トータル』
2011年07月06日発売
2011年07月06日発売
ALBUM