《波に揺られ流されて生きる僕は／その他大勢、雑魚の群れ》《可もなく不可もなく生きてきた僕は／耳を塞ぐのが精一杯で》という都市生活の煩悶を、《日々と共に進み　君と歩く／道のり1つ1つ意味がある》という根源的な言葉と海と空の雄大なイメージへと溶かし込んでいくように、ゆるやかに、しかし力強く流れるSPECIAL OTHERSの音像＆キヨサクの歌声……2011年を「コラボレーション・イヤー」と位置づけたスペアザの第１弾コラボ・シングル曲“空っぽ”で聴かせるのは、そんな奇跡のサウンドスケープだ。感情や思考を因数分解してメロディとアレンジに置き換えるという一般的な変換プロセスを通してではなく、感情そのままの蠢きと高ぶりを豊潤なジャム・アンサンブルとして放出するスペアザのプレイアビリティ。感情をそのまま自作詞と歌にジャック・インして空高く突き上げるようなキヨサクのおおらかなボーカリゼーション。8分以上にも及ぶ“空っぽ”のヴァイブがそのまま、あらゆるポップ・ミュージックへ向けた批評と挑戦のように静かに、熱く、そして強く胸を震わせる名曲。（高橋智樹）