ロレッタ「小惑星の名前で、全ては彼女の中にあって彼女自体が宇宙そのものという歌詞の世界観からつけました」というなんとも藤井らしい一文が添えられていた10枚目のシングル“ロレッタ”。まさかのラップの要素も取り入れた前作“半分花”からは一転、泣きメロと轟音ギターが絶妙な黄金律でブレンドされる「音速節」炸裂の専売特許ナンバー。《愛しさも 切なさも 全ては君のためにあったよ》《優しさも 僕の未来も全ては君の中へ》など、他者への絶対的な愛が半ば盲目的といえるほど歌われているのだが、それにしてもそこらの野郎が口に出したくても決して出せないような台詞を、この男はサラっと言い放ってしまう。そしてここ最近の彼は、そんな「男前モード」を加速させているようにも見えるのだ。もちろんいまだに福島在住でライブやレコーディングの度に上京するというマイペースぶりは変わってないし、フェスでスタッフTシャツを着たがる謙虚さにも変化はない。ただ、あらゆるリスナーを包み込む音楽家としての広い度量を兼ね備えてきたという点でその男前度が格段に上昇しているのだ。今年の音速には、なんだか色気が充満している。(洪弘基)