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その「ポップ」の基準の置き方は、ボカロ文化以降の日本独自の音楽カルチャーの基準とも、世界のヒットチャートの基準とも交わりながら、独自のものに成り得ている。今春、KAMITSUBAKI STUDIOから新たに分岐したプロダクション/レーベルのALLT STUDIO所属となったDUSTCELLの、2年9ヶ月ぶり通算3作目となるフルアルバム『光』が届けられた。ドラマ『明日、私は誰かのカノジョ』シリーズのED曲に起用された“足りない”や“Caffeine”をはじめ、お互いの高度なクリエイティビティが手加減なしに鬩ぎ合うコラボ曲“Nighthawk feat. たなか”など、全16曲のどこを取っても繊細さと大胆さが溢れ出す濃密な作品だ。MisumiとEMAが個々でも共作でも楽曲制作の持ち味を発揮するばかりではなく、ライブメンバーもアレンジに携わることで、DUSTCELLの音楽は実に風通しよく、有機的に拡張していることがわかる。それぞれの可能性を余すところなく引き出す、自由度の高い創作風景が見えてくるようなアルバムだ。(小池宏和)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年9月号より抜粋)
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