バンドを刻印するアルバム

グッド・シャーロット『ジェネレーション Rx』
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ALBUM
グッド・シャーロット ジェネレーション Rx

前作から2年、7枚目のアルバム・タイトルは『ジェネレーション Rx』=処方箋世代と名付けられた。嫌なことやつらい現実から、束の間目を逸らしてくれるツールがたくさんある現代、きちんと自分の心の内に目を向けることができているか、と問う作品だという。“セルフ・ヘルプ”では、過去の苦しみと戦い人生を取り戻すことが歌われ、“シャドウボクサー”、“アクチュアル・ペイン”といった曲でもネガティブな思いに囚われる息苦しさを綴る。前作『ユース・オーソリティー』(2016年)の前には、4年ほど活動休止期間があったが、復帰後はとくに、グッド・シャーロットができることに意識的に取り組んでいる。ポップ・パンク・シーンに軸足をおいて、若い世代を中心にメッセージを送り、アンセム・チューンを生み出してきたバンドができるのは、彼らの思い、彼ら自身のストーリーを素直に音楽にすることだった。

今作は、ベンジー(G)を中心に、前作ではエンジニアを務めたザック・セルヴィーニがプロデュースを手がけ、プライベートな環境で、今バンドができることを濃密に音に還元した。ジョエルとベンジーのマッデン兄弟の生い立ちを反映した初期作品のような、荒々しい感情も封じ込めつつ、大人となった彼らが語ることができる寓話的なものから、視野を広げた希望の見える曲までパッケージした。サウンド的にも、繊細なアレンジは活かしつつ、アグレッシブなバンド・サウンドを打ち出している。デビューから名だたるプロデューサーと作品を作り続けてきたグッド・シャーロットだが、今作のようにほぼバンド内で完結する制作で、ストレートな思いを凝縮し、かつスケールの大きなロック・アルバムを生み出せたことは大きい。音楽シーンでの彼ら自身の健在ぶりも示すアルバムだ。(吉羽さおり)



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グッド・シャーロット『ジェネレーション Rx』のディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』11月号に掲載中です。
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グッド・シャーロット ジェネレーション Rx - 『rockin'on』2018年11月号『rockin'on』2018年11月号
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