本領発揮のディープな傑作
リトル・バーリー『デス・エクスプレス』
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ALBUM
2013年の前作『シャドウ』でガレージ・ロックの定型を崩し、大きく開放され空けられたスペースに、新たに濃く深いエッセンスがギュッと詰め込まれ始めたようなニュー・アルバムである。3人が3人共に破格のプレイヤビリティを持つ彼らの強みを最大限活かした、ジャム・セッション的なスリリングな展開が全19曲(日本盤は20曲!)の全編にわたって繰り広げられ、サイケデリック、ブルース、はたまたプログレと、様々に表情を変えながらノンストップで突き進んでいく。『デス・エクスプレス』とは言い得て妙なタイトルで、まさに不眠不休で疾走するロード・ムーヴィーのような感覚を覚えるアルバムなのだ。シンプルでストレートな8ビート・ガレージを鳴らしていたかつての彼らを思えば隔世の感だが、リトル・バーリーの場合は本作で行われていることこそが彼ら本来の技量に見合ったもので、ためらいなく全部使いきるとこういうアルバムになるってことだろう。特に今回はスティーヴ・ハウの息子、ヴァージル・ハウ(Dr)のプログレDNAが覚醒したかのようなドラムが前面に躍り出て、変態的に凄いことになっている。(粉川しの)