すったもんだを経ての充実期
BODY/HEAD『NO WAVES』
発売中
発売中
ALBUM
元ソニック・ユースのキム・ゴードンと、フリー系ギタリストのビル・ネイスによるデュオ、ボディ/ヘッド。3年ぶりの最新作だが、内容はスタジオ音源ではなくライヴ・パフォーマンスを収録したもの。もっとも、既発曲の再現ではなく、まったく新たな音楽を創りあげるための機会としてライヴを位置づけていることを公言していたふたりのこと、これは純然たるオリジナル・アルバムとして捉えるのが正しいのだろう。実際には、前作『カミング・アパート』収録の2曲が、連結された格好で披露されているのだが(“アブストラクト/アクトレス”)、スタジオ・ヴァージョンの高度に抽象化されたサウンドをさらに押し広げて発展させた演奏を、ここでは聴くことができる。「レコードは“head”でショウは“body”」とはゴードンの弁だが、なるほど、むしろライヴ音源の方でこそ、このデュオの真髄であるインプロヴィゼーションの醍醐味を存分に堪能できる、のかもしれない。キム・ゴードンは今年、ガレージ・ロック・デュオのグリッターバストの結成でも話題を集めたが、ここにきて再び充実した音楽活動の様子が伝えられて嬉しいかぎり。(天井潤之介)