デビュー・アルバム前にサマソニ出演を果たし、鳴り物入りといった印象で本国オーストラリアをはじめ各国チャートを賑わせてきたテンパー・トラップの3枚目となるアルバム。前作はエレクトロ・サウンドとの融合を推し進めた作風になっていたし、4月の先行シングル“フォール・トゥギャザー”でもエレクトロ色は残されていると思ったのだが、ギタリストが脱退したにも拘わらず、これまでで最もロック色が強いアルバムに仕上げられた。意図的に荒々しい演奏の感触を残しており、それがダイナミックかつアーシーな音の広がりを演出している。極めて清々しい、こんなふうにロック出来るんじゃないか、という発見と喜びをもたらしてくれる一枚になった。ダンサブルな要素はデビュー時から彼らの武器ではあったけれど、ダギー・マンダギのフレディ・マーキュリーを彷彿とさせる高い歌唱力は、こんなふうに生の躍動感を持つサウンドととても相性がいい。最初から完成度は高かったが、キャリアを重ねてバンド感をしっかりと刻みつけておきたかったのではないか。8月には東京・大阪で来日公演も行われる。これは盛り上がるはずだ。（小池宏和）