90年代にもCD発売されたことはあるものの、諸々の問題により、完全に満足のいく形でCD化が行われたとは言えないものだったため、今回のリイシューこそオリジナル・リリース以来36年ぶりとなる正式なCD化と言っていいのではないかと思う。メンバー自身の手でリマスターが施され、歌詞だけでなく政治的な記事で埋め尽くされた「新聞」も完全再現されて付いている。最初にアナログ盤で買って擦り切れるほど聴き込み、ジャケットはもちろん、アートワーク全体が心身に染み込んでしまっているような作品なだけに、山ほどの再発商品を手にしてきた後でも、やはり特別な気持ちがする。3曲目の“ワン・アウト・オブ・メニー”が、同時期に出たシングル“ウィ・アー・オール・プロスティテューツ”と差し替えられており、もともとはこの形で出そうと考えていたという説明については、ホンマかいな?とも思うが、通して聴いて、さほど違和感は覚えなかった。
この混沌としたエネルギーの大爆発を、若いリスナーはどう聴くのかとか正直どうでもいい。これを聴いて、自分の中の何かが未だに反応するかどうかの方が大事だ。(鈴木喜之)
あのとき何が起きたのか
ザ・ポップ・グループ『ハウ・マッチ・ロンガー』
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