今回の「心に刺さったままのロック」特集の読者としてイメージしたのは30代後半から50代だ。そしてその世代が体験した90年代から00年代ぐらいのロックを20代や10代にも伝えられる特集になれば、という思いもあった。
一方、作っている僕自身は60代なので、この特集とは少しズレている。僕にとって心に刺さったままのロックとは、オアシスやレディオヘッドではなく、キュアーやジョイ・ディヴィジョンやコクトー・ツインズ。つまり80年代だ。
80年代のロックは本当に抜けない。70年代と打って変わってロックが盛り下がった80年代は、フェスもなければ来日も少なかった。ロックが売れてなかったから聴いているやつも少なかった。だから自分の中に深く深く刺さっていくしかない。おまけにその後に90年代のロック黄金時代がやってきて、あっという間に80年代インディー時代は過ぎ去り、心の中のニューウェイブやポストパンクの曲たちはまさに心に刺さったまま。そしてそのまま抜けなくなって今でもシクシクと痛むのである。
でもだからこそ「心に刺さったままのロック」の愛おしさと尊さは誰よりもわかるつもりだ。その気持ちでこの特集を作った。(山崎洋一郎)
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僕にとっての「心に刺さったままのロック」とは──ロッキング・オン最新号編集後記
2025.01.13 18:25