まだそれほど多くライブをやっていないEveの貴重なライブ。
最新アルバム『おとぎ』からの曲がたっぷりあって、ライブ全体の物語性や世界観が一気に広がって濃くなった。
前作『文化』はEveにとって「自分ってなに?」を楽曲と言葉で記述した、自画像のようなアルバムだった。
新作『おとぎ』も同じように「自分」あるいは「自分と自分との対話」を基軸にしながらも、もっと感情を外に出し、聴き手との繋がりや過去と未来との繋がりへと視界を広げて、カラフルな絵の具を使って作った作品になった。
その変化と広がり、そして同時に『文化』と『おとぎ』のひと続きの一貫性、その両方をうまく表現するセットリストと演出だったと思う。
この段階でEveはすでに今の音楽シーンのもっとも注目すべき存在としてのレベルに達しているが、僕には「いよいよ本当に飛び立つための準備が整った」というふうに見えた。
ネガティヴの矢をすり抜けて聴き手の心の白い部分に確実に届く楽曲のポップ・センス、そして誰もが持つ孤独の正体を少しづつ暴きながら希望へと近付こうとする歌詞──そのポテンシャルはこれからとてつもない数多くの人たちに共有されていくだろう。(山崎洋一郎)
https://youtu.be/nBteO-bU78Y
EveのツアーファイナルをZeppDivercityで観た
2019.04.30 14:41