マネスキンがニューアルバム『ラッシュ!』のリリースをアナウンスした。つい数か月前まで、来たるべき新作について「いつ出るのか」「どんな作風になるのか」という人々のつぶやきを無数に生んでいたであろうこのバンドの次の一歩は、2つの新曲を挟んだことで、より贅沢な憶測を呼びはじめているに違いない。
つまり、私たちのつぶやきは書き換えられたわけだ――「果たしてマネスキンはどれだけの振り幅を打ち出してくるのだろうか?」という問いへと。
2つの新曲とは、ほかでもない“ザ・ロンリエスト”と“Kool kids”。前者に関しては、正面切ったパワーバラードが届けられたことに驚いたリスナーも多かったはずだ。極めてハードロック然としながらも決してそれのみに回収されることのない広範な音楽性が彼らの特徴だったが、この曲ではこれまでで最もベタなハードロックのキワキワを攻めてきた。そして、後者は今まさに米大陸をツアー中の彼らが、10月のメキシコ公演を皮切りにライブで披露しているナンバー。ザ・クラッシュを彷彿とさせるような性急なパンクロックで、これまでのマネスキンには明らかに存在しなかったノリである。
つまるところ、この秋にお披露目された2曲を聴いても全く共通点はないし、力強く歌いあげたと思ったら激しく扇動的なリズムで会場の空気をかき乱すという、両極端なパフォーマンスがいまのマネスキンである。ゆえに、ニューアルバムの方向性は全く想像が及ばない。加えて次作の影響源としてレディオヘッドが挙げられるという、興味深いコメントもメンバーから飛び出した。
けれども考えてみてほしい、実は今回2021年以来約2年ぶりとなるアルバムである。あれからバンドを取り巻く全てが変わった。立場、環境、名声、雑音。ただ、一つ確実に変わらないことがある。それは、この4人のメンバーがサウンドを鳴らすという事実。空気と音の振動から4人のフィジカリティを感じるという体験――それはあなたの日常に亀裂を生む、いま絶対的に必要な出来事に違いないだろう?(つやちゃん)
マネスキンの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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