マドンナが、NYタイムズスクエアでサプライズギグ、5万人が集結。そして新作短編映画世界初上映とQ&Aに行った。

マドンナが、NYタイムズスクエアでサプライズギグ、5万人が集結。そして新作短編映画世界初上映とQ&Aに行った。 - pic by ALEX ANTONIONIpic by ALEX ANTONIONI

新作『Confessions II』の発表を7月3日に控えたマドンナが、6月プライド月間の幕開けとともに、NYで大きなイベントを2つ行った。

1)タイムズスクエアでサプライズギグ

マドンナが、NYタイムズスクエアでサプライズギグ、5万人が集結。そして新作短編映画世界初上映とQ&Aに行った。 - pic by RICARDO GOMESpic by RICARDO GOMES

ひとつは、なんとタイムズスクエアでのサプライズライブだ。

これはソーシャルメディア上で、「今日、タイムズスクエアで6時半からライブを行う」と急遽告知されたもの。私も開始の30分くらい前に知り、急いば間に合う場所にいたので向かってみた。

観光客も多い、NYの「ど真ん中」と言える場所で、突然マドンナがライブを行うものだから、当然大騒ぎに。発表によると、集まった観客は5万人! NYの中心地が、一瞬にして巨大なダンスフロアと化した。

興味深かったのは、翌日に行われたQ&Aで、マドンナ自身がこのタイムズスクエアでのライブについて、「最後には泣きそうになった」と語っていたことだ。

彼女が19歳で初めてNYに来た時にタクシー運転手に「NYのど真ん中で降ろして欲しい」と頼んだところ、降ろされた場所がタイムズスクエアだったという。だからこそ、そこでライブをした時に、「自分は成功したんだ」と実感したと話していたのだ。

まさかマドンナほどすでに数々の成功を収めた存在が、NYに来てから48年、そんなふうに感じるとは思いもしなかった。

マドンナが、NYタイムズスクエアでサプライズギグ、5万人が集結。そして新作短編映画世界初上映とQ&Aに行った。 - pic by BFApic by BFA

この日は、今作のプロデューサーでもあるスチュワート・プライス、そしてダンサーとともに登場。ここで初披露となる新曲“Love Sensation”を含む、なんと6曲も披露した。

マドンナが、NYタイムズスクエアでサプライズギグ、5万人が集結。そして新作短編映画世界初上映とQ&Aに行った。 - pic by RICARDO GOMESpic by RICARDO GOMES

前半は『Confessions II』からの新曲、後半は『Confession on a Dance Floor』からの人気曲という構成。 いくつか映像も公開されている。

こちら登場の瞬間。


ライブは、“I Feel So Free”に始まり、続いてサブリナ・カーペンターとのコラボ曲“Bring Your Love”。


そして新曲の“Love Sensation”が披露された。


『Confession on a Dance Floor』からは、人気曲3曲、“Get Together”、彼女がNYに捧げて書いた“I Love New York”を披露。


そして最後は、“Hung Up”。タイムズスクエア全体が大きなダンスフロアと化し、熱狂のうちに幕を閉じた。

偶然その場に居合わせた観光客も、知らせを聞いて駆けつけた私のようなファンも、まさか本当にマドンナがタイムズスクエアに現れるとは思っていなかったはずだ。だからこそ、その一瞬はあまりにも非現実的で、まるで夢を見ているようだった。

その直後には、“Love Sensation”の音源とビジュアライザーも公開された。


2)新作短編映画の世界プレミア&40分間のQ&A/トライベッカ映画祭にて。

この衝撃のサプライズライブの翌日、トライベッカ映画祭の一環として、マドンナが今作のために作った約14分の短編映画『Confession II - The Film』の世界プレミアが、NYのビーコン・シアターで行われた。

サブリナ・カーペンター、ケイト・モス、さらに意外なベネディクト・カンバーバッチなどがカメオ出演するこの映画は、その後YouTubeでも公開されている。


この上映会が特別だったのは、マドンナ本人がキャパ2800人の会場に登場し、観客席に座って一緒に映画を観たばかりか、超貴重なQ&Aまで行われたことだ。

もちろんチケットは即完。熱狂的なファンが買ったので、転売屋でもほとんど出回らず、あったとしても800ドル以上というとんでもない価格。

実際、会場にはこれまでのツアーのTシャツを着た人たちが大勢いた。まさに、長年マドンナを追いかけてきた熱狂的な信者たちが集まった空間だった。

マドンナが登場すると、会場は「マドンナ!マドンナ!」の大歓声と拍手に包まれ、それがなかなか鳴り止まない。何度もスタンディングオーベーションが起こり、彼女への長年の敬意と愛が示された。

映画の上映中も、演出、カメオ、そしてないより曲に会場は盛り上がり続けた。ただのちのQ&Aでマドンナは、観客が盛り上がってくれたことは嬉しいとしながらも、「実は歌詞と映像が呼応しているので、1度は静かに観て欲しい」と語った。そのため、最後にもう1度映画が上映され、イベントは締めくくられた。

その時の様子が一部ここで見られる。


この日の会場では携帯電話が禁止されていたため、写真も映像も撮ることはできなかった。ただ、それも今回のアルバムにおけるマドンナの意図のひとつだった。つまり、より「人と人との結びつきを表現したかった」ということだ。

携帯が禁止だったため、新作やこの短編映画について語られたQ&Aを残念ながら100%覚えているわけではないのだけど、記憶に残っていることを以下にまとめておきたい。

この日は、短編映画を監督した2人組のTORSOも登壇。司会は、マドンナの大ファンであり、CNNのアンカーとしても知られるアンダーソン・クーパーが務めた。

短編映画について

ー監督は2人組のTORSO。

ーアルバムから使用されている曲は、最初の6曲。

1. I Feel So Free
2. Good for the Soul
3. One Step Away
4. Bring Your Love (with Sabrina Carpenter)
5. Danceteria
6. Read My Lip (with Feid)

ーカメオ出演は以下の通り。

ジュリア・ガーナー(マドンナの伝記映画でマドンナ役を演じると言われていた)
サブリナ・カーペンター
コール・パーマー(チェルシーのサッカー選手)
ジョアン・ペドロ(チェルシーのサッカー選手)
ケイト・モス
オデッサ・アジオン
グウェンドリン・クリスティー
シャイ・ガール
アルカ(“I Feel So Free”を共同プロデュース)
リチャード・E・グラント
デビー・メイザー
アーチー・マデクウィ
ハニー・ディジョン
ベネディクト・カンバーバッチ
フェイド
ローラ・レオン(マドンナの娘)

ー衣装は
ドルチェ&ガッバーナ。250人のエキストラを含む、映画全体の衣装を担当している。

3)Q&Aでマドンナが語ったこと。

以下は、マドンナが語っていたことの要約。

●タイムズスクエアのパフォーマンスについて

「タイムズスクエアのパフォーマンスは、リハーサルのなしでやったからものすごくナーバスになった。

でも、パフォーマンスの終わった時には胸がいっぱいになって、泣きそうになった。理由は、私が初めてニューヨークに来た時、タクシー運転手に、『ニューヨークのど真ん中で降ろして欲しい』とお願いしたら、降ろされた場所が、タイムズスクエアだった。だから、昨日そこでライブをした時に、私は成功したんだと実感した」

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●短編映画を作った理由

「普通のミュージックビデオだけでは、安っぽく思えたから。私はシネフィルで、映画が大好きだし。MTVと私だけだった時代はよかったけど、あの時代はもう終わったから」

「アルバムから6曲を選んで(結果的には最初に6曲)、それぞれが繋げる箇所を見つけて、オーディオを最初に完成させた。そのうえで、このクレイジーな監督にお願いし、物語として語れるかを考えた。私は、ストーリーテラーだから」

「撮影は、ロンドン、パリ、NYで行われた。準備に6ヶ月、撮影に1ヶ月かかった。カメオ出演してもらっているので、その人達のスケジュールの合間を縫って撮影したから」

●新作を作ることになったきっかけについて

「当初自伝映画を作るはずだったのだけど、それが頓挫した。その後、Netflixで自分のドキュメンタリーシリーズを作ろうと思ったのだけど、なかなか脚本家が見つからなくて、時間が空いてしまったから。

もともと、前回のツアー『The Celebration Tour』をやった際に、スチュワート・プライスとすでにリミックス作業をしていて、それが新たなインスピレーションとなった。2人でまたやりたいとちょうど思っていたタイミングではあった」

●新作のテーマについて

「テーマは、人と人との結びつき。

アルバム全体は繋がっていて、最初から最後まで踊り続けるようなプレイリストになっている。さらに、アルバムの後半は非常にエモーショナルで、パーソナルで、親密な内容になっている。

恐怖心を取り払い、ダンスフロアで自分自身になって、人と繋がりを持つこと」

●携帯電話を禁止した理由。

「今の人々にはあらゆることを記録したいという新たで執拗な欲求がある。それが私たちの生き方を変えてしまった。今の時代がそういうものだということは認めるけど、私自身の思いは変わっていない。私はこの地球に、傍観者ではなくて、自ら行動を起こす人間として生まれてきたから。携帯の画面を見ていないで、目の前の人と繋がって欲しい。

例えば、サブリナ・カーペンターと共演したコーチェラに出られて最高の経験だった。だけど、若い観客がみんな携帯を掲げていたから、彼らがどんなルックスだったのかまるで分からなかった。観客の海を見渡したとき、そこにあったのが人々の顔ではなく、スマートフォンの画面ばかり。それが本当に衝撃的だった。

ダンスとは、どんな形であれ、どんな人々の間であれ、私たちを宇宙や他者と結びつける『深い部族的な体験』。でも、その真実はいま、人々がその瞬間の中にいながら、その瞬間を楽しめなくなっていることによって損なわれてしまっている気がする」

●“Good For the Soul”について。

「アルバムの2曲目に収録された“Good For the Soul”が、アルバム全体の雰囲気を決定づけたと思う。

この曲は、誰もが人との繋がりを求めていながら、その一方で、それに恐怖感を持っていることについて」

●短編映画について。

「映画は、私が、ひとり部屋で閉じこもっているところから始まり、外へと連れ出されて、仲間とダンスするという流れになっている。

とりわけ、“Danceteria"という曲は、80年代に自分が通っていたNYのクラブDanceteriaがインスピレーションになっている。そのドラッギーな熱気を再現するため、バスルームのシーンは、リアルで、ぶっ飛んだものになっている。当時(映画にも登場する、当時から今でも親友の)デビー・メイザーと通っていて、男性の気を引くために、わざとデビーとキスしたりしていた。そこでDJ故マーク・カミンズに自分のデモをかけてくれるように説得した。その後の成功は誰もが知る通り。

自分にとっては、バレエの先生が初めてゲイクラブに連れて行ってくれたことが、人生を変える出来事だった。それまでずっと、自分はアウトサイダーだと思っていたけど、ゲイクラブに行った時、初めて自分が所属する場所があると思えた。初めて、自分は1人じゃないと感じた。初めて、自由だと感じられた。

当時はお金もなく、クラブでも私は本を読んでいるようなタイプだった。その日はフィッツジェラルドを読んでいたと思う。それで、ある人が、私の服を貶して、買ってくれるとセントマークスに連れて行ってくれた。その後Danceteriaに連れて行ってくれた。そこで16歳のデビー・メイザーと出会った。

今回の映画では、その時の雰囲気を再現しようとした。コークがあって、トイレがあり、ドラマがあった。当時そこにいた人たち、バスキアからキース・ヘリングなど多くの人は亡くなってしまったけど、その時の経験が今の私のキャラクターを作り上げた」。

「映画の冒頭で、部屋から外に出ると、女性の足の間からレーザー光線が出ている。監督のそのアイディアだけで最高だと思った。自分でもやってみたいと思ったけど、非常に熱くなると聞いてやめた。ただ、あの霧が漂うレーザー光線の森に降り立つという演出は、ライブでもやってみたいと思った」

●サブリナ・カーペンターが登場するレイブのシーンでマドンナが空中で行うアクションについて

「あのスタントは全部自分でやった」

●ベネディクト・カンバーバッチのカメオについて。彼が踊れると知っていたか?

「彼は、ダンスが上手で、何にでも乗ってくれる人。カメオはいろんな人が見て喜んでくれるような、イースター・エッグ的なものになっている。例えば、チェルシーの選手にも出演してもらったりした。歌詞でコカインのことを歌っていて、ケイト・モスが登場したり。歌詞と映像が繋がっているから、歌詞を聞いて欲しい」

●最後に娘のローデス・レオンが登場することについて


「娘は、普段は何かお願いしてもほとんど断れるのだけど、今回は引き受けてくれて嬉しかった。しかも、最後に彼女が登場して“Cut, Bitch”(いい加減終わりにしてビッチ)と言って終わるのが完璧だと思った。

実はこのアルバムには、彼女との共作曲がある。“The Test"という曲なんだけど(※デラックス版収録)、一緒にスタジオにいる時に作った曲。彼女が目の前にいるから言うわけじゃないけど、私もかなり手強いビッチだと思うけど、彼女は私と違って本当に才能がある。私は全然ないから」


●今後の予定、ツアーの可能性について

「ツアーに出ることもできる。でも、自分を繰り返すようなことは絶対にしたくない。

(映画の冒頭の)レーザー光線が飛び交う霧の森に降り立つ演出には、すごく惹かれる。ああいうことをウェアハウスみたいなところでやるとか良いかもしれない。または、観客の真ん中に落とし込まれるチューブの中でパフォーマンスできたら面白いだろうと考えたりしている」

●観客が「スフィアでやって!」と叫ぶと、

「スフィアはクールだと思うけど、でも毎朝目が覚めたたびにベガスの景色を目にしたくない」

マドンナが、NYタイムズスクエアでサプライズギグ、5万人が集結。そして新作短編映画世界初上映とQ&Aに行った。

●母親であることについて

「自分が母親を5歳の時に亡くした。でも、彼女が私を守ってくれていると思う。私は、母が生きる機会を得られなかった人生を生きていると思っている。そして、自分にはいなかったら母親に、私はなろうとした。もし成長したかったら子供を持つことだと思う」

●長いキャリアについて。

「自分がこうして長生きできるていること、長いキャリアを持っていることに感謝している。

私と自分と同じ時代に出てきたアーティストたちが、すでに亡くなっている。それに、私はここにい続けるために、NYに来た時に決意した。喫煙も飲酒もしていないと。なぜなら、みんなを助けたいと思っているから。みんな、私に助けられてるでしょ。だからここにい続けなくてはいけないと思っている。

それから私は私のしたことに常に満足できない。それが長年良いものを生み出している理由だと思う」

マドンナが、NYタイムズスクエアでサプライズギグ、5万人が集結。そして新作短編映画世界初上映とQ&Aに行った。 - pic by ALEX ANTONIONIpic by ALEX ANTONIONI

●最後に一言ありますか?

「みんなに人と繋がりを持っていると感じて欲しい。携帯を置いて、ちゃんと人と繋がりなさい!そして前進して欲しい!

それがこの短編映画のテーマでもある。私がアパートで1人でいるところからレーザー光線の森に出て行って、自分自身になれるダンスフロアに行く物語になっているから」

マドンナは、現在開催中のワールドカップで、7月19日にニュージャージーのメットライフスタジアムで行われる決勝戦のハーフタイムショーに出演することも決定している。

タイムズスクエアを一瞬でダンスフロアに変え、ビーコン・シアターでは観客に携帯を置いて人とつながることを呼びかけたマドンナ。『Confessions II』は、いまこの時代に改めて「踊ること」と「つながること」の意味を問い直す作品になるのかもしれない。

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