メトロポリタン美術館で、ロックの歴史を鳴らしたと言えるアイコン達のギターや楽器が130点以上展示されている超豪華な展覧会“Play It Loud”が開始した。
https://www.metmuseum.org/primer/play-it-loud#lets-rock
記者会見に行ったら、なんとサプライズでジミー・ペイジが登場! 私の斜め前に座ったので超至近距離で見てしまった(笑)。
キュレーターによると、ここには例えば「ジミー・ペイジが“Stairway to Heaven”を作る時に使い、実際レコーディングでも弾いているギターがある。それに匹敵するすべてのアーティストにとって最もアイコニックで、象徴的な楽器がここにすべて結集している」という。
チャック・ベリー、エリック・クラプトン、ボブ・ディラン、ジミヘン、ジミー・ペイジ、キース・リチャーズなどのギターが展示されているこの展覧会。じっと見ていると楽器から音が聴こえてきそうだから不思議。私はプレスのプレビューで行ったのだが、じっくり見ていたら閉館の時間になってしまい、追い出されてしまったくらい(笑)。
https://youtu.be/R5DOsgqHMjg
展示されているのは、例えば以下の通り。
●ジミー・ペイジ: Harmony sovereign acoustic guitar “Stairway to Heaven”で使用。
Gibson EDS-1275 Double-Neck guitar 1971年のコンサートで“Stairway to Heaven”のアコギとエレキのパートをギターを変えずに弾いた。“The Rain Song”, “Celebration Day”,“The Song Remains the Same”でも使用。
●ジミ・ヘンドリックス “Love Drops" Flying V 1967-1969 “All Along The Watchtower”などで使用
●エルヴィス・プレスリー Model D-18 acoustic guitar 1955年Sun recordingsで使用
●キース・リチャーズ: Gibson Les Paul Custom guitar
1967年2月にバンドがドラッグで逮捕された後、ツアー休止。その際にキースが絵を描いたギター。“Beggars Banquet"セッションをとらえたジャン・ルック・ゴダールの“Sympathy for the Devil"で使われている。“The Rolling Stones Rock and Roll Circus"でも使用。
●エディ・ヴァン・ヘイレン:Frankenstein Mini 1975-1983 “Eruption"などで使用
●ジョン・レノン:12弦 Rickenbacker 1964年ツアー&“A Hard Day's Night”で使用(小野洋子が寄贈)
●ジョージ・ハリスン:カスタム Lotus Six-String acoustic guitar
ジョージ・ハリスンが依頼して作ってもらったもの。1970年代後半のソロ作で主に使われ、“Faster"のビデオで使用。
●ジョー・ストラマー: Fender Telecaster
●プリンス: Jerry Aueswaldデザイン“Love Symbol”
1993年、名前をシンボルに変えた後、そのシンボルを型取ったギターを依頼。プリンスはいくつかバリエーションを持っていて、2007年のスーパーボウルなどでも使用。
●ポール・スタンレー:Iceman Guitar 1970年代、1996-1997使用
●キース・ムーン: “Pictures of Lily" drum kit
●ピート・タウンゼント: Gibson Smashed SG Special
アート学校に通っていた時、グスタフ・メッツガーに学んだ自己破壊的芸術を実践するために、ローリング・ストーン誌の表紙撮影で実際に破壊してみせたギター
●ブライアン・ジョーンズ:ローリング・ストーンズの“Lady Jane"で弾いたダルシマー
●ジョーン・ジェット:Gibson Melody Maker “I Love Rock'n'Roll”、“Bad Reputation”などで使用。現在もツアーで使っている。
●ブルース・スプリングスティーン: Fender Esquire guitar “Born to Run"のジャケ写で持っている。1972年から2005年くらいまでライブで使用。
●カート・コバーン: Left-Handed Fender Stratocaster 1993年“In Utero”のツアー中カリフォルニアのライブでカートが壊したギター。ライブを観に来ていたエディ・ヴァン・ヘイレンを感動させるためにやったと言われている。
●フリー: Modulus Custom FB4 “Punk Bass"
●ピーター・バック:“Losing My Religion"で弾いたマンドリン
●ジャック・ホワイト: Valco Airline ホワイト・ストライプスのライブ、レコーディングで多く使用。“Seven Nation Army", “The Hardest Button To Button"などのビデオでも使用。
●ティナ・ウェイマス:the Hofner bass
●キム・ゴードン: Ovation 80s bass
●セイント・ヴィンセント:Ernie Ball Music Man MASSEDUCATION edition electric guitar
アニー・クラークが2015年 Ernie Ball Musicとコラボで制作。2017年の“MASSEDUCATION”ツアーで使用されていた。
●レディー・ガガ:“ARTPOP”ツアーで使用したエレクトリックピアノ
●ジョー・ペリー:インスタによると「このBlade Runner(“Walk This Way”ビデオで使用)をMETの展覧会用に選んだのはこのギターが本当にあの時代を象徴すると思ったから」と。
もう本当に書ききれない。カートが壊したギターも本当に生々しい。
また、展示のみならず、ジミー・ペイジ、エディ・ヴァン・へイレン、キース・リチャーズ、トム・モレロがそれぞれ4分ほどの映像でギターとの出会いについて語っているセクションがあり、そこも面白かった。全員「ギターを自分が選んだのではなくて、ギターに選ばれたんだ」と言うテーマで語っている。トム・モレロの映像の一部はこちらで見れる。
https://www.metmuseum.org/primer/play-it-loud#woodstock
ジミー・ペイジが会場で語る映像はこちら。
キュレーターを家に招待して、展覧会の概要を聞いたそう。「ギリシャ、ローマの彫刻を抜けて、最初に目に飛び込んでくるのはチャック・ベリーのギターなんです、と言われた。それでオリジナルのギターなのか?と聞いたらそうだと言うので、僕も是非協力したい、必要なものは何でも提供すると言ったんだ」
結果的にジミー・ペイジはギターを7点と衣装、アンプを数点提供。
「僕のギタリストとしての歴史がここで見られる」と語っている。また、展示されているHarmonyのアコギについて「僕は、ギブソンやマーティンのものではなくて、形が似ていた偶然にもハーモニーのものを使っていた。でもこのギターは60年代初期から持っていて、結局このギターでレッド・ツェッペリンの最初の4枚の曲をほとんど書いた。また実際“Stairway to Heaven"のレコーディングでも使用している。その後ダブルネックのギターを作り、マーティンのギターを買った。でも、それは4枚のアルバムを作った後だった」
また記者会見では、「これは、僕が子供の頃には夢にも思っていなかったような展覧会だ」と語った。
キュレーターとの出会いについて再び披露し、「(チャック・べリーのギターが)聖杯のように大事に展示される情景が浮かび、それがマジカルに思えた」。だから自分にできることは何でも協力したいと思ったと。「きっとここに楽器を提供している人はみんな同じことを思ったと思う」「それからエレクトリック・ギターの現象が何だったのか、とりわけそれがイギリスに来た時にどのようなものだったのかを考えてみた。エルヴィス・プレスリーのロカビリーから、リッキー・ネルソンのレコード、ロックンロール・トリオ、ジョニー・ベネットなどが、イギリスに来て聴いた時に、僕の人生を変えた。
実際僕はアート大学に通い、スタジオミュージシャンになり、それからヤード・バーズ、レッド・ツェッペリンとつながっていくわけだ。だけど、その前に、もちろんリバプールがあって、ビートルズがいた。当時のビートルズはそれらの音楽を自分達なりに解釈し、自分達の音楽を作った。それがここ(アメリカ)に戻って来た。だからUKとヨーロッパのインベイジョンがあり、それが回帰したものがひとつあったのが、クールだったと思う。でも、このすべてはエレクトリック・ギターが素晴らしかったから起きたことだった。そしてそれぞれのミュージシャンは、自分の個性や発明をそれで鳴らしてみせたんだ。
この現象の面白いと思ったところは、ギターは非常に感知的な楽器であり、それを演奏する人すべてにとっての機動力となったということ。例えば僕の場合は、6弦のナイロンギターが好きで、フラメンコギター、クラシックギター、ロカビリーギターから、ブルースギターに興味があった。スライドギターでもベンディングでも。そのすべてが僕にとってはマジカルなタペストリーのように思えたんだ。だから、僕はスポンジのようにそのすべてを吸収した。今日は、本当に僕が夢にも思っていなかったような日だ」と、ギターについて熱く語り、展覧会へ感動のコメントをした。
映像はこちら。
また記者会見では、ドン・フェルダーが“Hotel California”を演奏。「これまで数えきれないほど、何万人もの人の前で演奏してきたけど、今日ほど緊張する事はない」と、ジミー・ペイジの真ん前で演奏することについてコメント。「可能ならこっちを見ないで欲しい(笑)」と。
映像はこちら。
この展覧会は、10月1日まで開催。ゴールデンウィーク、夏休みなどにNYに来ることがあったらぜひ!