今週の日曜日に、アメリカで最高の視聴率を記録する一大イベント、スーパーボウルが開催された。そのハーフタイムショーに出演するのは多くのミュージシャンにとって夢だが、今年出演が決定したマルーン5への逆風はすさまじいものだった。
前夜祭にはフー・ファイターズがライブを行い、Twitterのアカウント、@Directvで世界に中継された。
詳しくは以下の記事で紹介している。
さらに金曜日の夜、日本時間2月2日(土)午前11時から行われるポスト・マローンのライブもTwitterアカウント @SBMusicfest で中継された。
それで、話はマルーン5に戻って、彼らもずっとハーフタイムショーに出演したいと言っていたので、長年の夢が叶った記念すべき瞬間だ。すでに、ハーフタイムショーまでの道のりを描いた映像のパート1を公開している。
しかし、出演をキャンセルするようにという署名が集まったり、また、ステージで少なくとも跪けという署名が集まっていたのだ。
理由は、警官の黒人に対する不当な暴力に抗議して国歌斉唱の時に跪いた元サンフランシスコ49ersのクォーターバックであるコリン・キャパニックを支援するべきだという声が高まっているから。
キャパニックは、2017年に49ersが契約を終了して以降、プレイしていない。それに対して、多くのミュージシャンは、彼が抗議行動をしたからNFLから不当に排除されたと訴えているのだ。
去年のハーフタイムショーは、ジャスティン・ティンバーレイクだったが、元々オファーされたのはJAY-Zで、キャパニックを支援するために、出演を断ったと言われている。
今年も、当初リアーナに出演が要請されたそうだが、キャパニックを支援するため、またNFLの国歌斉唱に対するポリシーに抗議するために、出演を断ったと正式に発表している。
https://www.rollingstone.com/music/music-news/rihanna-super-bowl-halftime-show-colin-kaepernick-744650/
結果マルーン5に決定したのだが、会場となるアトランタにはブラック系の優れたアーティストがたくさんいるのに、よりによって白人バンドだというのも反発の対象になった。
それを受けて、彼らが共演しているカーディ・Bなどをスペシャル・ゲストにするという噂もあった。しかし、カーディBもキャパニックを支援するために出演を断った。
最終的には、トラヴィス・スコットと、アトランタを代表するアーティスト、アウトキャストのビック・ボーイがゲスト出演することになった。本来、アウトキャストとして出演して欲しかったらしいが、アンドレ3000は断ったそう。
通常ハーフタイムショーに出演するアーティストは記者会見を行うが、記者からネガティブな質問がくることを予想されてかキャンセルとなった。
今回の出演について唯一アダム・レヴィーンが行ったインタビューがポストされている。
「振り返ってみれば、これまでどのハーフタイムショーも、何かしらの反発があったように思う。少しくらいの論争に耐えられなかったら、この仕事をするべきではないと思う。そういうものだと思うし、反発は想定内だ。でもそこから前進したいんだ」
また、今までのキャリアで「こんなに興奮したことがない」「最大のギグだ」としながら、反発に対しては、「すべて音楽を通して答えたい」と言っている。
出演するトラヴィス・スコットに対しても、「彼は、これまでハーフタイムショーに出演した最大のヒップホップアーティストとなる。しかも今最も熱い」と。
トラヴィス・スコットにもJAY-Zが出演しないようにと説得したという噂だが、トラヴィスは、NFLとともにトラヴィスが支援するDream Corpsに$500,000を寄付し、出演を決定している。
https://variety.com/2019/biz/news/travis-scott-colin-kaepernick-super-bowl-1203109159/
またマルーン5も、同様にインタースコープと NFLとともに Big Brothers and Big Sisters of Americaに$500,000 寄付している。
スーパーボール直前というところで、ロジャー・ウォーターズが、マルーン5にステージで跪くようにと声明文を出してもいた。
「僕らの仲間であるマルーン5と、トラヴィス・スコット、ビック・ボーイが、日曜日のハーフタイムショーに出演するが、そこで跪くことを要請する。コリン・キャパニックを支援することを要請する。殺された子供達のために、残された親達のために、跪くことを要請する。僕の母がよく言っていた。『どんな状況に置かされてもそこで必ず正しいことができる。だからやりなさい』と」
「君達だって心の中ではそれが正しいと分かっているはずだ」と。
ミュージシャンではその他に、スティービー・ワンダーや、ファレル、パール・ジャムのエディ・ヴェダーなどが過去にステージで跪いている。
アメリカの大統領は、キャパニックに対して、「あんなクソは速攻クビだ。今すぐクビだ」と言っている。跪く選手は、「この国から追放だ」とも。
https://www.theguardian.com/sport/2017/sep/22/donald-trump-nfl-national-anthem-protests
彼らが人種差別を訴えているのに、愛国心がないと勝手に話をすり替えているのだ。
キャパニックは、去年NIKEの” JUST DO IT" 30周年記念キャンペーンに出演。論争となったが、結局若者にはより支持され、
NIKE は売り上げをのばした。
https://www.washingtonpost.com/news/early-lead/wp/2018/09/13/colin-kaepernicks-nike-ad-campaign-gets-more-yeahs-than-nays-from-young-people/?utm_term=.631d773bb252
マルーン5はこの大イベントの後、今月来日する。
https://rockinon.com/news/detail/180129