ローリング・ストーン、SPIN、NYタイムズの選ぶ今年のベストアルバム。これでほぼアメリカのリストは出揃った。今年の傾向。

ローリング・ストーン、SPIN、NYタイムズの選ぶ今年のベストアルバム。これでほぼアメリカのリストは出揃った。今年の傾向。

ローリング・ストーンと、SPINと、NYタイムズが今年のベストアルバムリストを発表した。これでアメリカのリストはほぼ出揃ったと言える。

1)ローリング・ストーン誌の選ぶ50枚。
結果はこちら。
https://www.rollingstone.com/music/music-lists/50-best-albums-2018-764071/

トップ20枚を書くと
20. The Beths, "Future Me Hates Me"
19. Hop Along, "Bark Your Head Off Dog"
18. Vince Staples, "FM!"
17. Lucy Dacus, "Historian"
16. Soccer Mommy, "Clean"
15. J. Balvin, "Vibras"
14. Mitski, "Be the Cowboy"
13. Janelle Monae, "Dirty Computer"
12. Brandi Carlile, "By the Way, I Forgive You"
11. Paul McCartney, "Egypt Station"
10. Drake, "Scorpion"
9. Kurt Vile, "Bottle It In"
8. Lady Gaga & Bradley Cooper, "A Star Is Born"
7. Pusha T, "Daytona"
6. Travis Scott, "ASTROWORLD"
5. Ariana Grande, "Sweetner"
4. Pistol Annies, "Interstate Gospel"
3. Camila Cabello, "Camila"
2. Kacey Musgraves, "Golden Hour"
1. Cardi B, "Invasion of Privacy"

2) SPINの選ぶ51枚はこちら。
https://www.spin.com/featured/best-albums-2018/

トップ20枚は。
20. Kali Uchis, "Isolation"
19. Noname, "Room 25"
18. Playboi Carti, "Die Lit"
17. DJ Koze, "Knock Knock"
16. Rico Nasty, "Nasty"
15. Ariana Grande, "Sweetner"
14. Snail Mail, "Lush"
13. U.S. Girls, "In a Poem Unlimited"
12. Mariah Carey, "Caution"
11. Parquet Courts, "Wide Awake"
10. Oneohtrix Point Never, "Age Of"
9. Robyn, "Honey"
8. Pusha T, "Daytona"
7. Low, "Double Negative"
6. Earl Sweatshirt, "Some Rap Songs"
5. Blood Orange, "Negro Swan"
4. Amen Dunes, "Freedom"
3. Kacey Musgraves, "Golden Hour"
2. Mitski, "Be the Cowboy"
1. The 1975, "A Brief Inquiry Into Online Relationships"

3)NY タイムズの選ぶ28枚。
https://www.nytimes.com/2018/12/06/arts/music/best-albums.html

2人のライターが選んでいて、お互い10枚ずつ選ぶはずなんだが、1人が10枚以上選んでいるのでこの結果。

a.
10. Autechre, "NTS Sessions 1-4"
9. Jupiter & Okwess, "Kin Sonic"
8. Soccer Mommy, "Clean"
7. Ariana Grande, "Sweetener"
6. Rosalia, "El Mal Querer"
5. Neneh Cherry, "Broken Politics"
4. Esperanza Spalding, "12 Little Spells"
3. serpentwithfeet, "Soil"
2. Mitski, "Be the Cowboy"
1. Janelle Monae, "Dirty Computer"

Spotify でリストがそのままプレイリストになっている。



b.
15. Lil Peep, "Come Over When You're Sober, Pt. 2"
14. Yves Tumor, "Safe in the Hands of Love"
13. Turnstile, "Time & Space"
12. The Blaze, "Dancehall"
11. Pusha T, "Daytona"
10. Kane Brown, "Experiment"
9. The Weeknd, "My Dear Melancholy"
8. Cardi B, "Invasion of Privacy"
7. Kanye West, "Ye", Kids See Ghosts, "Kids See Ghosts"
6. Ashley McBryde, "Girl Going Nowhere"
5. Gunna, "Drip Session 3", Lil Baby, "Harder Than Ever", Lil Baby and
Gunna, "Drip Harder"
4. Drake, "Scorpion"
3. Juice WRLD, "Goodbye & Good Riddance"
2. Charlie Puth, "Voicenotes"
1. Soccer Mommy, "Clean"

こちらもSpotify。


NYタイムズはこのリストについてポッドキャストもしていて、個人的にはそれもめちゃくちゃ面白かった。まるで友達と語り合ってるような気分になるのだ。1人のライターがまず、Charlie Puthを2位に選んでいること、それから、カニエを選んでいることで他の全編集部員から猛攻撃されている(笑)。2人ともアメリカでは他のどのリストにも入っていないので、私もどうしてだろうと思っていた。遠慮のないツッコミが面白かった。英語がわかる人はこちらで聴ける。
https://www.nytimes.com/2018/12/13/arts/music/popcast-best-songs-2018.html

4)今年のベストアルバム雑感。

a. 最初のベストアルバムリストが出た時にも書いたが、今年は、『レモネード』や、『ダム』のような、売り上げも良く、批評も良い、決定的な1枚がなかった:
というか、毎年実はそういう感じで、ここ数年がむしろ驚異的だったのだと思う。それは、”Black Lives
Matter”のムーブメント、今の若者がヒプホップ聴く傾向が強く、それがメインストリームカルチャーを引っ張っていることとも関係していたと思う。

b. 評価は分かれたが、女性アーティストがほぼ1位だった:
決定的な1枚はなかったが、女性アーティストが1位なことがほとんどだった。ジャネール・モネイ、ケイシー・マスグレイブス、ミツキの誰かが1位であることが多かったと思う。ただ興味深いのは、ジェネール・モネイを1位に選ぶメディアも多かったが、例えばピッチフォークのように彼女が50位にすら入っていないこともあったこと。ミツキについてもそれが言えて、メディアによって評価が割と分かれていた。

c. 評価も高く、売れたのはCardi B:
これまで出たベストアルバムリストを丁寧に平均点化してリストのリストを作ってくれているサイトがある。こちら。
https://www.albumoftheyear.org/list/summary/2018/

それと、アップルが今年の世界でのストリーミングチャートを発表している。こちら。
https://www.billboard.com/articles/news/8488043/drake-rules-apple-music-best-of-2018-charts

このベストアルバムチャートのベスト10と、売れたアルバムチャートのベスト10がほぼ重なっていないのだが、唯一両方に入っているのはカーディBだ。ローリング・ストーン誌がカーディBを1位に選んでいるのは、だからある意味正しい。

d. グラミー賞のノミネーション雑感。
批評と売り上げが真っ二つに分かれているので、今年のグラミー賞はどうするのだろう?と思っていたら、上の二つのリストを見れば分かるけど、その両方のリストの1位2位(ジャネール、ケイシー/ドレイク、ポスト・マローン)を選び、それにケンドリック・ラマーも入れておこう、という面白い結果になっていた(笑)。

グラミー賞は、ここ数年、ヒップホップや女性アーティストをノミネートすることが少なすぎると批判された。それで今回カテゴリーの枠を通常の5から8に増やしたのだ。オスカーと同じだ。世間の波から取り残されている。しかし、今回のノミネーションが本当に彼らの内部での考え方の変化を表しているとは言えないようにも思う。結果を見るまで分からない。グラミー賞については、詳しく語り出したら長くなるのでまた別の機会に。

みなさんベストアルバムリストを見て、聴いてなかったけど気になるアルバムがあったらぜひ聴いてみてください!
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