ユマ・サーマン『キル・ビル』で無理やり車を運転させられ衝突。死ぬ寸前だったという映像を公開。タランティーノのパワハラ、ワインスタインのセクハラを告白。

ユマ・サーマン『キル・ビル』で無理やり車を運転させられ衝突。死ぬ寸前だったという映像を公開。タランティーノのパワハラ、ワインスタインのセクハラを告白。

ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラが明るみに出た時に、「あまりに怒り心頭しているので、落ち着いてから話す」と言っていたユマ・サーマン。とうとう何が起きたのか、「The New York Times」で語っている。

その中で、ワインスタインのみならず、監督のクエンティン・タランティーノに受けた『キル・ビル』の撮影でのパワハラについても告白している。

映画の中で、正にビルを殺すために車を飛ばすあの有名なシーンで彼女はスタントにお願いして欲しいと言ったのに、タランティーノが自分で運転するように強要。結果、衝突し死にそうなった、と告白している。衝突した映像を上の「The New York Times」紙の記事の中で初公開している。また自らのインスタグラムにその短いものを貼り付けている。この映像は長年彼女に渡してもらえなかった映像だが、今回初めて渡され、公開することになった。


車を運転するするシーンは『キル・ビル』の撮影の終わりから4日目に行われたそう。ユマは車の運転はしたくないので、スタントにお願いして欲しいとタランティーノに言ったそう。しかし、タランティーノが彼女が運転しなくてはいけないと強制。「彼は私がぐずぐずしているから怒り狂っていた。だけど、私は運転するのが怖かった。しかし彼は『絶対に車には問題ないと約束する。それに道は真っ直ぐだから。ただ、時速40マイル(約65キロ)は必ず出さないといけない。そうしないと髪がなびかないから。だから、なびかなかったらもう1度やってもらうから』と言った。それで、実際に車に乗ったら、それはもう死の箱みたいなものだった。シートはしっかりと固定されていなかったし、道は砂だし、真っ直ぐではなかったから」

それでヤシの木に衝突。その時の状況について、「ハンドルは私のお腹にきていて、その下で足がぐちゃぐちゃになっていた。私は燃えるような痛みを感じて、もう2度と歩けないだろうと思った」「それで、首にコルセットを巻き、膝を怪我し、脳震盪を起こし、病院から戻った後で車を見せてもらいたいと言い、ものすごく動揺した。クエンティンとは大喧嘩をして、私を殺そうとしたと怒った。だけど、彼はひどく私に対して怒ってきた。彼には本当にそのつもりはなかったのだと思うから」。

また、『キル・ビル』の撮影中には、タランティーノはサディスティックで、バイオレントなシーンを自らがやったりもしたそう。スクリーン上では俳優がやっているように見えるが、例えば、ユアの顔に唾を吐きかけたり、またはGOGOがチェーンで彼女の首を絞めるシーンなど。

衝突から2週間後に、ユマの弁護士がミラマックス(ワインスタインによる当時の製作会社)に、ユマの側から何が起きたのか説明し、裁判する権利がある旨を伝えたそう。しかし上に公開された衝突の映像を見せる代わりに、今後彼女に後遺症があっても治療に関して何の請求もしないようにと契約させようとしたということ。ユマは断ったそう。

タランティーノは、『キル・ビル』の撮影をしている時から、1994年の『パルプ・フィクション』の後、ユマがワインスタインに何度もセクハラを受けていたのを知っていたそう。

しかしタランティーノはユマにその映像は渡さなかったため、タランティーノとはその件について長年闘ってきたのだという。しかし今回ワインスタインのセクハラが明るみに出た後に、タランティーノと再び話し、ようやく上の映像が彼女に渡された。

ユマはインスタグラムで、「クエンティン・タランティーノはこの残念な出来事について深く後悔していたし、いまだに後悔している。だから、それからすでに何年も経ったけど、今回その映像を渡してくれた。この出来事に対する罪が正しく償われることはないように思うけど、こうやって人々に公開することができた」「しかも彼は、この映像を渡すことで、彼自身が問題を抱えることはわかっていた。それでも、渡してくれたわけだから、正しいことをした彼の勇気を誇りに思う」とコメント。

タランティーノは「Deadline」のインタビューで「一生で最も後悔していること」とこの事故について語り、「彼女を車に乗せた罪は、すべて僕にある」とコメント。ただし、ユマが語ったことと自分の見解にはずれがあること、さらになぜこんな事態になったのか彼の側から語っている。

ユマはインスタのコメントの中で、この事故についての証拠を隠滅したワインスタインを含む3人のプロデューサーについて、恥を知れとコメントしている。

ワインスタインは今回のユマの告発を慎重に検証し、どのように対処するか決めるとコメント。セクハラについては全面否定している。
中村明美の「ニューヨーク通信」の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする
フォローする