オアシスのドキュメンタリー映画『オアシス:スーパーソニック』(日本は12月24日公開)がアメリカでも一夜限りで劇場公開になった! 大感動だった~(涙)。
オアシスは、全世界的にみると、アメリカでは大爆発したとは言えない人気だったけど――ノエルはリアムのせいでツアーがしっかりできなかったからと後で語っていたけど――それでも一夜限りでは足りなくて、各劇場が追加に次ぐ追加上映をして、それでも売り切れ続出で、翌日も上映していたくらいだった。
とにかく、分かると思うけど、ギャラガー兄弟のことなので、笑いも満載で、しかもじーーーーーーんとする場面もたくさんある(涙)。
ロンドンの児島由紀子さんもすでにレポートされています。
http://ro69.jp/blog/kojima/149367
笑いあり、涙あり、とにかくノエルは自分のバンドのことなのに、それが何だったのかを客観的に分析する能力がハンパなくて、しかもこれもいつものノエルの発言から明らかだと思うけど、いちいち鋭いのだ! ここにその名言の数々を書き出したいくらい、観ながら心のメモ帳にメモしまくりな言葉が大量にあった。
映画は、児島さんも書いてらっしゃる通り、こんな映像なんで撮ってあったの?という貴重映像で綴られる他、その時のことを、ノエル、リアムはじめ、バンド・メンバーなどが振り返ってコメンタリーするという方式だ。
言いたいことはものすごくたくさんあるんだけど、でも日本のファンの皆さんにはなるべく知らない状態で観てもらいたいので、観終わったら語り合いましょう(笑)!
それでも言っておきたいのは、来日した場面が出てきて、それがメンバーにとってどんなに意味のあることだったがかなりしっかりと語られていること。日本のファンがバンドの歴史にとってどんなに意味のあることだったかを知る場面で、日本のファンは絶対超嬉しいはず!!! かなりの観客が映っているので、初来日公演に行った方はとりわけ必見!
それから、この『オアシス:スーパーソニック』が、昨今流行とすら言える音楽ドキュメンタリーと違って特別なところは、まず主人公が存命だということ。つまりバンドは解散してはいるけど、まだ目の前でドラマは続いている。同じ監督が作ったエイミー・ワインハウスのドキュメンタリー『AMY エイミー』のように、終わってしまった物語ではない。
それから、遠い昔の話ではないということ。例えば、ビートルズのドキュメンタリーだったら、今のロッキング・オン読者の多くにとっては、リアルタイムではない出来事も多いはず。なので、なるほどこういうことだったのかと思いながら観る場面が多いと思う。だけど、このドキュメンタリーは、それに比べたらすごく近い過去の話だ。だから、描かれていることを観ながら、自分の体験や思い出が思いきり映画の中で蘇るのだ。それが、ひとりひとりにとって、この映画をものすごくパーソナルな体験にしてしまう。つまりこの映画は、彼らの物語でもあり、自分の物語でもあるのだ!!
観終わったら語りまくりたくなる映画で、オアシスとは何だったのかを、再び検証したくなる映画だ。
私がもし監督に質問する機会があったら、ひとつだけ聞きたいことがある。普通こういうバンドのドキュメンタリーは、ライズ&フォール、つまり上り詰めていくところと、そこから転落する物語が描かれるものなのだけど、この映画はネブワースのライブに至るところまでで終わる。つまり、2日で25万人を集めたバンドの頂点で終わるのだ。その後バンドが解散にいたるところなどはまったく描かれていない。それはどういう意図でのことだったのか、ぜひ知りたいと思った。
予告編はこちら。
アメリカのエンターテイメント・ウィークリー誌でリアムと監督がインタビューに答えている。
http://www.ew.com/article/2016/10/26/oasis-liam-gallagher-documentary
リアムはその中で、「俺達は世代を代表するバンドだから、(この映画が面白くなるのは)当然だと思っていた」と豪語。
また監督のマット・ホワイトクロス曰く、映画はすごく短時間で作られたという。「1年半前にプロデューサーのSimon Halfonにこう聞かれたんだ。『オアシスは好きか?』ってね。それでもうすぐに『再結成するのか?』と聞き返してしまった。きっと再結成ツアーをするから、そのドキュメンタリーを撮って欲しいということだと思ったんだ」。しかし、過去のドキュメンタリーを作って欲しいということだったと。「内容は僕に任せるということで、それは非常に怖かったけど、興味深いと思った」という。
監督がネブワースのライブを描くことに決めたのは、「ノエルがこのライブがいかにバンドにとって意味のあることだったかを語っていたことがきっかけだった」と言っていて、リアムも「あれから20年経つから、振り返るのに完璧な時期だと思った」と言っている。
また監督によると「ノエルは記念の年に拘って、この映画がもしネブワースから20周年の2016年に仕上がらなかったら、25周年の2021年まで公開しない、と言った」そう。ノエルもリアムもこの映画のエグゼクティブ・プロデューサーであり、映画に対する意見はかなり似たものだったらしいが、この映画を通してふたりが仲良くなるということはなかったそう。リアムによると、「ノエルとは(映画に関して)一言も話してない」ということだ。
ただ、2人とも別々に、監督の超長い質問には答えて、映画作りには多大なる貢献をしていたという。リアム曰く「正直言ってこんなに色々と撮影されていることに気付いていなかったんだ。とりわけリハーサルの場面とか。何で撮っていたのか分からないけど、でも、撮っててくれて良かったと思う。撮影されるのが嫌いだったから、普通はカメラが回っていると店じまいしてしまうことが多いんだ。でもその時は、きっとガードを相当降ろしていたんだと思う」
再結成ということはないにしても、ドキュメンタリー制作は兄弟にとって非常に良い体験となったという。監督はふたりに「僕はこれから色々な質問をするけど、その時に今日ツイートで自分が兄弟について書いたこと、または読んだことは忘れて欲しい。その時お互いに対してどう思っていたのかを思い出して語って欲しい」とお願いしたそう。「ふたりは、今の関係性とは違う、過去のふたりの関係性を思い出してかなり心を動かされていた」という。リアムは、ドキュメンタリー制作に関する「すべての体験は、ファッキング最高だった!」と語っている。
お楽しみに~!!!