矢野顕子をshibuya WWWで観る

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今日は3月にリリースされるニューアルバム『飛ばしていくよ』のリリースを記念したプレミアムライヴということで、アルバムの曲をすべて演奏するというセットリストだった。
とはいえ、”電話線”や”在広東少年”のセルフカバーもやるし、吉田美奈子に提供したあの”かたおもい”もやるし、ということで盛りだくさんの凄まじい濃度のライヴだった。

いまさらな話だが、矢野顕子の音楽には確固たる文体がある。そして、その文体はポップスの本質そのものでありながら、同時に何よりラジカルな表現でもある。
一定のルールに則ったフォーマットであるポップスの正面玄関を笑顔でノックしながら、同時に、精神は軽やかにしたたかに小さな鍵穴をするりとすり抜けて行くような音楽だ。
”電話線”を二度演奏した今日も「同じ演奏は、この曲を作った時から一度もしたことがない。一度も飽きたことがない」と言っていたが、この人の場合、圧倒的なフレージングのスキルと進化のスピードがインスピレーションの限界を軽々と超えていく。
同じ自分など一瞬たりともいないのだから、演奏する音楽だって一瞬たりとも同じじゃない、ということなのだろう。
『飛ばしていくよ』はそんな矢野顕子イズムの最新実験の結晶のような作品である。
きっと、聴き込むほどに発見がある。

今日はアルバムをともに作ったsasakure.UK、AZUMA HITOMIも登場した。
ともに最大限のリスペクトを表するとともに遠慮のない、本領発揮のパフォーマンスを見せてくれた。

5月からのクアトロツアーも楽しみだ。
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