Spotifyのバイラルチャートに突如躍り出たバンド・PompadollS。2024年1月に活動を開始したばかりだが、既にその個性が光り始めている。
ギターボーカルの五十嵐五十が書く歌詞は、童話をモチーフにしたファンタジー感のある世界観の中に、現代に暮らす人々の閉塞感や生きづらさといった本音が織り交ぜられている。たとえば、チャートにランクインした“悪食”からは、冒頭から《「黙ってないで/なんか言えお前も」/そう言ったって/言うことなんてない》と、それによって何が変わるんだと訴えるような諦めに似た怒りを感じた。《遠慮なんかいらないと/言われ慣れた 純粋な悪が/お菓子の家を/食い尽くしたらしいよ。》──“悪食”は童話「ヘンゼルとグレーテル」がモチーフになっているが、「純粋な悪」というのがなんであるのかすごく考えさせられる。行き過ぎた干渉や画一的な考えが、知らぬうちに個人を蔑ろにしてしまうような瞬間を、私は思い浮かべてしまった。
アレンジ面は鍵盤の音色が印象的だが、その上品さがファンタジー感を醸成しつつも、力強いロックサウンドにも負けない主張のあるフレーズで楽曲の攻撃性も高めている。そのバランス感覚が絶妙だ。
まだまだ駆け出しのバンドだが、今後の活躍に期待したい。(有本早季)
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“悪食”がバイラルチャートに突如躍り出たPompadollS。そのロックなダークファンタジーに惹きつけられる
2025.01.25 17:00