amazarashiの最新アルバム『永遠市』の物語は、秋田ひろむ自らが語るように「居場所が無くて疎外感を感じていたこの地球に「居場所がないと歌う」という居場所が与えられた」を基本テーゼとし「相容れない思考と言葉をなんとか駆使し、この社会とコミュニケーションを図った。その過程がこのアルバムだ。」と続く。
この命題と対峙し続ける独白のドキュメントがアルバム『永遠市』であり、そして12月11日に東京国際フォーラム でファイナルを迎えたツアー『永遠市』だ。
居場所の無さ、疎外感、そうしたものを言語化し作品化する。現実とのズレが巨大であればあるほど葛藤は深まり、なんとか思考を駆使して生み出されたその言葉は、しかし摩擦が高い分優れた表現として普遍性を獲得する。それはずっと繰り返されてきたポップミュージックの基本原則とも言える。
そして今度はホールのステージで、生でその違和感を叫び続ける。それがライブ表現としての『永遠市』である。
秋田ひろむにとっての居場所は「居場所がないと歌う」このステージ上だ。それが東京追加公演のこの日も含め全国各地満員のオーディエンスに震えるような感動を与える。
このアイロニーこそがamazarashiなのだろう。
(海津亮)
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なぜ僕らはamazarashiの『永遠市』に共感するのか
2023.12.13 11:56