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    「深夜高速」全曲解説 1

    「深夜高速」全曲解説 1

    「フラワーカンパニーズのことだったらいくらでも書ける」という、普段あんまり使い道のない特技が自分にあったことを、前回のブログを書いていて、思い出しました。
    って考えると、今っていいタイミングではあるので、「深夜高速――生きててよかったの集い──」、全曲ひとこと解説でもしようかと。

    「深夜高速――生きててよかったの集い──」
    AICL-2039 Sony Music Associated Records
    9月16日リリース

    1.フラワーカンパニーズ
    「深夜高速(2009)」、つまり今年録り直した新録バージョン。イントロの、竹安のギターだけのところが終わって、バーンと全員の演奏が入る間のブレイクが、オリジナルよりも1/2小節長くなっているとか、そういう細かいリアレンジはあるけど、基本的には大きくは変えていない。
    いないが、録り音がクリアで生々しいのと、各メンバーのプレイの「ここは下がってここで出る」みたいな抑揚の大きさが、オリジナルより進化したところ。
    あと、圭介がわりと淡々と歌っているのも、なんか却って哀愁度が上がっていて、よいと思います。

    2.斉藤和義
    イントロでハーモニカを吹きながらアコースティック・ギター弾き語りで始まり、途中でピアノやベースやドラムも入ってきて盛り上がる、すべての楽器をひとりでプレイして作ったバージョン。
    つぶやいても、シャウトしても、それ以外も、とにかく常にどうしようもない哀愁と空虚感が漂うボーカルが、やはりすばらしい。
    元々、斉藤和義とフラカンは、同じ所属事務所の先輩後輩で、その後それぞれが事務所をやめても、フラカンがメジャーからドロップアウトして地下へ潜っても、当時と変わらぬスタンスで付き合い続けてくれて現在に至る、なんというか、仏様のようなアニキなわけです。
    なので、今や何度目かのブレイク中で忙しいはずなのに、快く引き受けてくれたのだと思う。

    3.金子マリ
    出た。ある意味このアルバムのハイライト。歌うは「あの」金子マリ御大、しかもアレンジとギターは四人囃子の森園勝敏。
    そのお二人が、フラカンの曲を。恐れ多い。よく頼めたなフラカン。バチが当たるのではないかと心配です。
    で、もう、ほとんど違う曲になっている。ファンキーでブルージーで、しかもちょっとブレイクビーツっぽいというかヒップホップぽかったりもする(リズム、生なのに)。すごい。
    しかし、「あの金子マリだよ?」というのに、さらに「RIZEの金子ノブアキ&Kenkenのお母さんだよ?」をくっつけると、よりいっそう「よく頼めたなフラカン」感が、強まります。

    次回に続く。
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