早くもAdele以降の歌姫達がポップ・シーンを更新する
2013.10.05 20:34
今、アメリカでシングル”Royals”がチャート1位を獲得し、ティファニー(!)以来となる記録を打ち立てている破格の歌姫、Lorde。すでにRO69の様々なところでも話題にのぼっている。
Lordeの革新性はいろいろあると思うのだが、ひとえにこのサウンドで全米1位を獲ってしまったという驚きに尽きるだろう。いくらエレクトロが主流の今とはいえ、こういうふうに洗練されたアートなミニマリスティック・サウンドが全米1位って、少し前なら考えられなかったことだと思うのだ。
未だ16歳のLordeはシンガー・ソングライターだが、この”Royals”はJoel Littleとの共作。Joel Littleはもともとパンク・バンド出身で、”Royals”のプロデュースも行っている――というエピソードから思い出されるのは、カーリー・レイ・ジェプセン。
”Call Me Maybe”はJosh Ramsayとの共作&プロデュース。Josh Ramsayもまた、カナダで人気のポップ・パンク・シーンから出てきたミュージシャン。もちろんCarlyは10代ではないけど……。
で、Joel Little もJosh Ramsayもそれぞれ30歳そこそこというのが面白い。たぶんだけど、この世代だからこそ、Death Cab for CutieやThe Get Up KidsからPostal Serviceまでを、エモやエレクトロ、インディ・ポップといった文脈を意識せずに聴き、身につけているのではと思うのだ。で、そういうミュージシャン/プロデューサーのバックグラウンドとAdele以降のモダン・ソウル、ヒップホップをリアルタイムで咀嚼し、自分のものとして表現できる女子が組むと、Lordeのような強力な楽曲が出来上がるのでは、と。それによって、マーケットの側でも、30代前後というちょうど様々なライフ・イベントが重なったりして音楽から離れがちな世代を音楽へ引き戻しつつ、ティーンに原体験をもたらす、という、無限の掛け算が生まれる構造になっているのではないか。
Adele以降のモダン・ソウル、エレクトロを英国内の伝統でやると、London Grammerのような、よりアート志向のサウンドになるのだと思う。