『銀魂』あと5回で完結。今こそ、CUT9月号の大西恒平氏インタビューを読んでほしい
2018.08.20 14:45
本日発売の『週刊少年ジャンプ』で、『銀魂』の連載があと5回で完結するということが発表されましたね。
物語が最終章に突入していることが明かされてからしばらく経つので、いつかは終わるものだと覚悟はしていたものの、こうして本当にカウントダウンが始まると、喪失感とか淋しさとかいろんなものが襲ってきます。ああ、終わってほしくない……。
でも。
たとえ『銀魂』が終わったとしても、『銀魂』がわたしたちに教えてくれたたくさんのことがなくなるわけではありません。
『銀魂』のアニメや、先日公開になった実写映画の作り手がそうであるように、空知先生が描いた物語から、”銀ノ魂”を受け継いだ人たちも大勢います。
発売中の「CUT」9月号、表紙巻頭特集「俺たちの『銀魂』ー動乱篇ー」の中で、『週刊少年ジャンプ』副編集長であり空知先生の初代担当・大西恒平さんにインタビューをさせてもらいました。
「そもそもは空知さんと僕、世界中でふたりしか面白いと思ってないようなところからスタートした」と語る『銀魂』について、空知英秋という唯一無二の存在について、そして空知先生の今後について――。
今回の特集を作っている時はまさかこのタイミングで完結のカウントダウンが始まるとは思っていなかったのですが、結果的に、今だからこそ胸に刺さる言葉がたくさん溢れるインタビューになっていると思います。
以下、特集全体のリード文として掲載している文章です。大西さんの他にも、アニメや実写映画のキャスト・クリエイター陣からも『銀魂』らしいコメントをたくさんいただいた今回の特集。原作完結に向けて、『銀魂』に関わるさまざまな人の想いを知ることで、一緒に熱くなってもらえたら嬉しいです。
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『銀魂』というのはつくづく不思議なタイトルだと思う。
そもそも2004年に『週刊少年ジャンプ』で連載をスタートさせた時から、この作品には今まで読んだどの漫画とも違うなんだか異質な空気があった。少年漫画らしからぬ「死んだ魚のような目」をした主人公・坂田銀時の存在感や、決してわかりやすいとは言えない設定、ページいっぱいにあふれるセリフ、刺激的なパロディや時事ネタイジり。いわゆる『ジャンプ』の王道とはまったく異なるその姿勢にはじめは驚かされたが、物語が進んでゆくにつれて少しずつ、わかってきたことがある。
その風変わりな歩き方で『銀魂』がやろうとしていること、空知英秋が描こうとしていること。それはたとえば、「王道以外にもかっこよさはある」ことであり、世の中の大概のことは「笑い」に変えてこそ救われることであり、死んだ魚のような目でいても「いざという時はキラめく」、その「いざ」を逃してはいけないことだ。少年漫画という枠組みで言えば邪道にも見える『銀魂』だが、だからこそ描ける人生の本質のようなものがそこにはある。キャラクターたちの泥臭い戦いやくだらないギャグの裏にそういう「生き抜くヒント」がにじみ出るからこそ、私たちはこの作品に夢中になるのだ。
さらに面白いのは、この世にはそんな『銀魂』の姿勢に共鳴する作り手が実はたくさんいたということ。「まさか」と言われながらも13年も続く大作になったアニメシリーズ。これまた「まさか」と言われながらも実写邦画No.1ヒットという結果を残した実写映画。どちらも、アンチテーゼを描く姿勢にこそ『銀魂』の本質があることを理解しているからこそ、「完全に原作通り」ではないが「完璧に『銀魂』」な世界を作り上げることができ、多くの人々に受け入れられるものになった。『銀魂』というタイトルは、そんな幸福な連鎖を生むことのできる不思議なパワーをもった作品なのである。
だから、実写映画第2弾が公開される今回のタイミングでは、原作漫画・アニメ・映画の三位一体の大特集を組んだ。『銀魂』に関わる人々の思いを一度に広げることで、『銀魂』というレジスタンスが世の中に起こす「動乱」を、そこで見せつける信念を、明らかにしたいと思った。ずっとやりたかった念願の企画だった。何事にも敏感で易しくしがちな今の時代だからこそ光る「俺たちの『銀魂』」。その輝きを、この特集から感じ取ってもらえたらうれしい。(安田季那子)