スポティファイ、トム・ヨークの発言を受けて1回の再生あたりの支払い金額を明らかに

スポティファイ、トム・ヨークの発言を受けて1回の再生あたりの支払い金額を明らかに

レディオヘッドのトム・ヨークがナイジェル・ゴドリッチらとともにスポティファイから音源を引き上げた問題を受けて、スポティファイはストリーミングからアーティストが受け取る印税を明らかにしている。

トムやナイジェルらはスポティファイの印税率があまりに安すぎて、駆け出しのアーティストならこれではとてもやっていけないとして、トムのソロ作品やアトムス・フォー・ピースの音源、さらにナイジェルが率いるウルトライスタの音源をスポティファイから引き上げ、自分たちの論点をことあるごとに訴えてきた。これにデヴィッド・バーンなども応じて、スポティファイなどのストリーミング・サービスによるアーティスト報酬の金額設定はあまりにも将来性がないと指摘している。その一方で、これまで違法ダウンロードが野放しになっていた状態を考えればスポティファイが価格を設定したことだけでも良心的だと主張し、スポティファイを支持するアーティストも多い。

こうした議論を受けてスポティファイは、楽曲1ストリーミングにつき支払われている金額をこの度明かしているが、それによれば、0.6セント(約0.6円)から0.84セント(約0.86円)になるとのことで、この金額からさらにレコード会社の取り分やマネジメントの取り分などが折半されていくとのことで、その一部がソングライターやアーティストに支払われることになるという。

こうした数字を明らかにしつつも、スポティファイは楽曲1回ずつの金額ばかりに注目することは事実を見失うと主張していて、今後スポティファイがさらに利用数を増やせば印税支払もさらに増えることになると強調し、今年は5億ドル(約515億円)もの印税を支払っていて08年の創業以来の支払いは10億ドル(約1030億円)を越えていると明らかにしている。

その一方で『ザ・ガーディアン』紙は、スポティファイが右肩上がりの業績拡大しか想定していないことを疑問視していて、スポティファイの業績のうちでも支出や損失が急増していることを指摘し問題視している。また、今回スポティファイが明らかにした数字では楽曲ストリーミング100万回につきおよそ6千ドル(約62万円)から8400ドル(約87万円)の印税支払が生じていることが判明しているが、これではまさにデヴィッド・バーンが指摘しているように、メインストリームで成功してほかで収入の目途が立っているアーティストではない場合、とても生活していけるような金額にはなっておらず、およそ「ミリオンセラー」と呼ぶにふさわしい収入にはなっていないと『スピン』誌は指摘している。また、ギャラクシー500のデーモン・クルコフスキーも昨年自分が1300万回のストリーミングで得た収入は1988年にシングルを1千枚売って得た収入にも及ばなかったことをピッチフォークに明らかにしている。

スポティファイのアーティスト・サービス担当のマーク・ウィリアムソンは現状について「今ある様々なビジネスモデルの理解については混乱が生じていて、そこには非常に懐疑的な見方も介在している」と語っていて、「そういう目で見られているのはわかっているので、できるだけ透明性を保ちつつ、スポティファイが今の業界の仕組みの中でどういう働き方をするのかということを説明していきたい」と説明している。
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