【43日間、連続公開!】ロッキング・オンが選ぶ究極のロック・ドラマー43選/ジョン・ステニアー

ロッキング・オン6月号では、「究極のギタリスト」を特集しています。そこでギタリスト特集とあわせて、昨年の9月号に掲載したロッキング・オンが選ぶ「究極のロック・ドラマー」を43日にわたり、毎日1人ずつご紹介します。

「究極のロック・ドラマー」に選ばれたアーティストはこちら。

ジョン・ステニアー(ヘルメット、バトルス)

【43日間、連続公開!】ロッキング・オンが選ぶ究極のロック・ドラマー43選/ジョン・ステニアー

バトルスのライブを観たことがある人なら、ものすごく高い位置にセットされたあのクラッシュ・シンバルと、そこから叩きつけられる強力な打音が印象に残っているだろう。

90年代からヘルメット〜トマホーク、そしてバトルスと渡り歩いてきたジョン・ステニアーは、ハードコアがポスト・ハードコアへ、メタルがポスト・メタルへと移る時代のなかから登場した名ドラマーだ。ヘヴィなアンサンブルを支えるだけの腕力とスタミナがあることは前提として、変拍子からミニマルな反復にまで対応できる柔軟性を併せ持っているのが彼の秀でたところだろう。ヘルメットの代表作『ミーンタイム』(1992年)の時点でそのたしかなスキルを発見できるが、キャリアを通してその存在感が際立ったのは、やはりバトルス以降ではないだろうか。

というのは、バトルスは明らかにポスト・ロック以降のテクノロジーとロック・バンドがどう向き合うかという命題を内包しており、ことドラムに関して言えば、プログラミングのビートがいくらでも可能になった時代に人力でビートを生み出す意味とは何か、をつねに問うているからだ。サンプリングも駆使するバトルスのライブではしかし、ステニアーのタフなドラミングが不可欠であり、そのことが音楽のフィジカルな快楽について示唆する。“アトラス”のあのシャッフル・ビートは、どうしたって人間的だ。(木津毅)



ロッキング・オンが選ぶ「究極のロック・ギタリスト」特集掲載号は、5月7日発売です。ご購入は、お近くの書店または以下のリンク先より。


【43日間、連続公開!】ロッキング・オンが選ぶ究極のロック・ドラマー43選/ジョン・ステニアー - 『rockin'on』2021年6月号『rockin'on』2021年6月号
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