現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』12月号にLiSAが登場!ずっと愛されてる実感がなくて、それを世界のせいにして。
けど、人から愛をもらった時に……世界は別に何も変わってなかったんですよね。気づけなかっただけなんだな、って
最高傑作『LEO-NiNE』のすべてを今、語る
――全13曲完全解説インタビュー
インタビュー=小栁大輔 撮影=オノツトム
前号に封入した特別別冊に続いての、再びの大特集である。
前号は、『LEO-NiNE』が完成した直後の「第一声」インタビューと、“炎”を語った一発目のインタビューという2本のテキスト。今回は、『LEO-NiNE』の全曲をLiSA自身が語った「全曲解説」である。2ヶ月合計の取材時間は5時間半、文字数で言うと、5万字もの原稿をお届けする、ということになる。ここまでくると、サービス精神やジャーナリスト魂を通り過ぎて、なんだか普通に粘着質な奴、という危険領域に片足を突っ込んでいるような気もしてくる。
よくもまあそんなに訊きたいことがあるものだ、と自分でも思う。だが、『LEO-NiNE』という作品を聴けば聴くほどに、語るべきことが発見され、真実と真実がつながり、新たな価値が生まれてくる実感が――つまり、「訊くべきこと」が無尽蔵に湧き上がってくる。このアルバムが素晴らしいのは、LiSAというシンガーにとって、時代に選ばれ、時代に自らを捧げていくための強い覚悟が決まったこと、その証明であるという点がまずひとつ。そして、さらに素晴らしいのは、カルチャーとカルチャー、世代と世代の壁を真正面からぶっ壊し、文字通り、開けた地平のど真ん中にすべてのリスナーを引き連れ、立たせてくれたことである。すべてのリスナーが、LiSAの歌声を通してアニソンを知り、LiSAの激しさを通してロックを知り、LiSAのチャームに向き合うことでJ-POPを知り、LiSAの心のありようを愛することでポップミュージックの奥深さを知る。そんな幸福な現象のど真ん中に今、この『LEO-NiNE』という作品はある。
――とまあ暑苦しいことを書いたが、『LEO-NiNE』の世界を今こそ味わい尽くすように、楽しんで読んでもらえたら嬉しい。(小栁大輔)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2020年12月号より抜粋)