自分が存在してなかった時代(90年代)を美化してる部分も少しはあるのかな。
あの頃の曲を解体してコピーしてるわけじゃないしね。たくさん聴いてると、曲を書く時に聴いていたものがいろんなものの間を縫うようにして入り込んでくるというか
ビーバドゥービーことビー・クリスティは2000年生まれの20歳。3歳の時にフィリピンからイギリスに移住したビーは、2010年代のロンドンでペイヴメントやエリオット・スミスに出会い、誰にも言えない日々の悩みや孤独をひとり向き合うギターに、囁くような歌声のなかに、そっと仕舞い込んでいたシャイな少女だった。
ローファイやグランジ、シューゲイザーといった主に90sサウンドを「発見」し、自分の思春期の憂鬱のサウンドトラックとして落とし込んでいった彼女のサウンドは瞬く間にバイラルで広がり、The 1975やウルフ・アリスを輩出した注目のインディ・レーベル「Dirty Hit」の秘蔵っ子として、ビーバドゥービーは今や2020年に最も注目されるUKニューカマーのひとりとなった。
もちろん、ビー自身は何も変わっていない。待望のデビュー・アルバム『フェイク・イット・フラワーズ』もまた、ベッドルームと直結した極めてパーソナルなアルバムであり、毛羽立った毛布に包まれて微睡みながら見る夢のような本作のファジー・ポップは、この不確かな時代の思春期に、Z世代のグレーな日々に、共感という名のささやかな革命をもたらしていくはずだ。(粉川しの)
ビーバドゥービーの関連記事は現在発売中の『ロッキング・オン』11月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。