去る2月16日から2月18日まで、都内のギャラリー「mograg」にて『保育園児が描いた奇怪イラスト展』なる展覧会が開催され、連日の大盛況となった。そのイラストを描いた保育園児とはKAWAKITA TEI君(6歳)。マキシマム ザ ホルモンのマキシマムザ亮君の3人の息子のうちの次男である。TEI君はある日突然、保育園で奇怪な模様や蛇のイラストを大量に描き始めて、保育士の先生たちを「ドン引き」させたそうだ。お父さんのマキシマムザ亮君を、ミュージシャンとしてよりも、絵が上手い人としてリスペクトするTEI君は、お父さんの持っている画集やマンガなどから影響を受けながら、より個性的な絵を描くようになり、マキシマムザ亮君は、そんな息子の絵にセンスを感じたからこそ独自の英才教育法で、TEI君の絵を描くことへの興味を伸ばしたという。その展覧会資料に掲載されているTEI君の絵の何とも表現できない奇怪さに、rockinon.com編集部にも衝撃が走った。そして、そのKAWAKITA TEI君と「キモいTシャツ屋さん」として物販販売を行うマキシマムザ亮君に、当日の会場での親子取材をしたいと速攻オファーしたところ、速攻OKの返事が返ってきたのだった。
展覧会初日2月16日、会場に着くと亮君が、『GANTZ』、『いぬやしき』の作者である奥浩哉先生や鬼才コラージュアーティストとして知られるセキンタニ・ラ・ノリヒロ氏がTEI君の絵をリメイクした作品なども含めて、とても丁寧に展示を案内してくれる。TEI君の絵は、絵を描き始めた初期のものから時系列順に並べられており、保育園児が描いたとは思えない、でも大人にも絶対に描けない熱量と自由な発想に溢れていて、圧倒されると同時にメチャメチャ見ていて楽しい。TEI君はと言うと、基本的に6歳らしい元気で快活で可愛い、でもときどきマキシマムザ亮君の息子らしい自由さが炸裂する男の子。もちろん普通には6歳の子のインタビューというのは成り立たないので、亮君のナビゲートのもと、微笑ましいくらい温かい雰囲気の中(途中、亮君の悪ふざけによるハプニングもありましたが)取材はスタートした。
インタビュー=古河晋 撮影=中川志織
僕が絵を描くと「ママよかったねえ、あんな絵のうまいパパと結婚できて」とか言ってて(笑)。(マキシマムザ亮君)
──TEI君はどんな風に絵を描き始めたんですか?
マキシマムザ亮君 もともと僕も絵が大好きだったんですけど、音楽のほうが好きで。この子は、ギター弾いたり歌を歌ったりとかは真似しないんですよ。でも僕が絵を描くと「すげえ!」とか、自分のお母さんに「ママよかったねえ、あんな絵の上手いパパと結婚できて」とか言ってて(笑)。
──(笑)この“野菜”っていう絵は、同じ絵を『GANTZ』の奥浩哉先生とお父さんが描いてるけど、どう思う? どっちもいい?
TEI うん。(マキシマムザ亮君の絵を指して)こっちだけ鼻水垂らしてる。
マキシマムザ亮君 よくわかったじゃん!
──ははは。
マキシマムザ亮君 勝手に俺、アレンジ加えたんだよ。よく気づいたな。あとここ、舌も出してんだ。
TEI うわ、ほんとだ。しかもなんかここ、帽子おしゃれ~。
──やっぱりお父さんの絵好きなんだね。
マキシマムザ亮君 絵が上手いのは、なんか(TEI君にとって)いいことみたいで。3人子供いるんですけど、この子だけお絵描きがすごく好きになって。僕、あんまり教えたりとかしないんですよ。むしろ長男のときは、「せんせい」っていう絵を描くおもちゃで教えたりとかしたんですけど、この子は全然教えてなくて。でもエロ本、タバコ、ロックとか全部そうだけど――。
TEI エロ本とか。
──エロ本に反応しましたね(笑)。
マキシマムザ亮君 (笑)禁止されたほうが楽しいというか。「しちゃいけないよ」って言われたほうが子供ってしたくなるじゃないですか。
──うんうん。
マキシマムザ亮君 だからうちのお母さんもROCK IN JAPAN FESTIVALとか、楽しみにしていつも来てくれるんですけど、ライブ中は絶対楽屋とかに来ないで欲しいんです。親孝行するためにやってないから。むしろ親のいないとこで、悪いことしてる感覚でロックやってるから。うちのお姉ちゃんは「お母さん、おいでおいで。COUNTDOWN JAPAN、飯うまいから!」みたいに親孝行するんですけど(笑)。だから音楽にしても絵にしても、むしろ禁止しようと思ったんです。特に絵に関してこの子は、すっげえいっぱい描いてて。ちょっとヘンテコな絵を描いてて「いいじゃん!」と思ったんですけど、逆に褒めても違うなあと思って。褒めちゃうと親が描かせてる感じになっちゃうから。ダチョウ倶楽部じゃないですけど「これダメだからな、おまえ」って(笑)。
──「押すなよ、押すなよ」っていう(笑)。
マキシマムザ亮君 ていうのは、この子にはちょっと極端に狙ってやったかなあ。僕の作ったステッカーとかワッペンを見てて、「あ、これ真似しちゃダメだよ」って言った瞬間に「これ面白い」と思ってるみたいで。みんながピースしてる写真で、ひとりだけその「真似しちゃダメだよ」って言ったポーズしてたり(笑)。あと、この絵とか超かわいいじゃん。なのに「FUCK」って描いてあったり。
──ほんとだ(笑)。かわいいのにFUCK。
マキシマムザ亮君 ほんとに教えてないですからね。(TEI君に)この綴り、どこで見たの? これも俺のステッカーかな。ランドセルを改造したやつがあって。それに「FUCK」ってステッカーを貼ってるんだけど、そしたら「SCHOOL FUCK」ってなってて(笑)、奥さんドン引きしたやつがあって。そういうのを「これいけない言葉だ」って覚えてたんでしょうね。結構、うちにアートの本とかマンガもいっぱいあって、なかには、子供には早いかなあっていうマンガもいっぱいあるんです。それこそ奥(浩哉)先生のマンガとかも、まだ早いかなってシーンありますからね。
──結構ありますよね。
マキシマムザ亮君 エログロはまだ見せてないですけど。ちょっとぐらいグロがあるようなイラスト集とかマンガとか、僕の普通に大好きな画集とかは、ちょっと上の本棚にしまっとくんです。で、「この本触んないで、高いから」って言うと絶対いじってますね。
──見てるんですね(笑)。
マキシマムザ亮君 見てますね。で、そうすると自然とその画風をちょっと吸収してたり。「だいたい、この時期はこれを見てたなあ」とかあるんですよ。(TEI君に)俺の本で一番好きなやつ、何?。
TEI (奥浩哉先生の絵を指差す)。
マキシマムザ亮君 『GANTZ』? 『GANTZ』のマンガはまだ見せてないですけどね。
TEI 見てるよ。
マキシマムザ亮君 映像のほうだよね。画集は見せたことあるかな。おっぱい出ないやつとか、首ちょん切れてないやつとかは。