昨日のThe Birthdayと同じくオールスタンディングのフロアも、ステージ左右斜め後方まで客席になっているスタンドも、もうびっしり満員の武道館のステージに、KEN YOKOYAMA、初めて立つ。ゲストのBRAHMANが、もうすぐ出るニュー・アルバムまで含めたベスト盤みたいな選曲を、まるで解散ライヴみたいなテンションでやる――つまり、意味なくこっちがオロオロしてしまうほどいいライヴだったので、一瞬心配になったが、そんな大きなお世話なんてまったく必要ないくらい、すばらしかった、KEN BAND。
「勢い」という概念をそのまま音像化したみたいな音。2Fスタンドまで(って、その場にいた人に「3Fはどうした」と言われそうですが、武道館の客席ってアリーナ・1F・2Fという呼称なのです。だからMCであなたが「3Fドウ?」と呼びかけていた場所は実は2Fなのです、サージさん)まっすぐ飛んでいくのが目に見えるような、聴く人のすべての鬱屈を溶かしていくような解放的なメロディ。武道館ってことで感極まりつつも、やっぱりややぐだぐだ気味なMC。そして、底抜けに楽しそうなオーディエンスたち――つまり、基本的にはいつものKEN BANDなんだけど、いつもと違ったのは、なんかこう、夢に満ち溢れていたこと、場の空気が。
何それ。いや、だから、バンド小僧の夢=武道館、という図式はもう過去のもんだと思ってたけど、この場にはそういう、なんだかとても幸せな空気があったのです。ハイスタ時代もソロになってからも、武道館よりもはるかにでかいステージで、はるかに多いオーディエンスの前に、何度も立ったことのある人なのに。観ていて涙腺にくるぐらい、幸せそうでした。本人も、メンバーも、オーディエンスも。あと、もちろん自分も。
本人も、「武道館っていうのはいろんなバンドのライヴ盤が出ていて、サージや俺はそれを聴いて育ったから思い入れがある」とMCで言っていました。あと、15歳の時にナイト・レンジャー(80年代中期にアメリカと日本で大人気だった、速弾きが死ぬほど上手いギタリストがふたりもいるバンドです)の武道館公演にバイトで来て、ステージ前の柵んとこに立って警備をやっていた、という話も、2回くらいしてました。
あと、基本はいつものライヴだけど、さすがに武道館ならではというポイントもいくつかあった。「このバンドはもう解散しちゃったけど、音楽はこうやって残る」と前置きしてHUSKING BEE“WALK”のカヴァーをやったり。さっきも書いたけど、MCの度に感極まってたり。感極まりすぎて、「ライヴハウス武道館へようこそ!」とBOφWYの武道館ライヴ盤に入ってる有名なセリフを引用してみたり。ほぼ2時間、セットリストは弾き語りも含めて約30曲。聴きたい曲、いっぱいやってくれた。
唯一残念だったのは、1stアルバムの1曲目だった――つまり、ソロ・アーティストKEN YOKOYAMAの出発点だった“I go alone”を、今日はやんないんだなあ、ということ。「俺は成功の重みに耐えきれずにぶっ壊れたんだ」と独白し、「俺はひとりで行く」と宣言する、あの感動的な弾き語りチューン、こういうメモリアルな場なんだから、アンコールの1曲目にひとりで出てきてやってくれたりしないかな、そしたらものすごく感動するな。と期待してたんだけど、やらなかった。
と思っていたら、アンコールが終わり、客電が点き、お客さんもだいぶ帰り始めたところで、アコギを持ってひとりで再登場。「何やろっか?」ってフロアからリクエストを募りながら歌い始める。で、3曲目にやってくれました。しびれました。(兵庫慎司)
KEN YOKOYAMA @ 日本武道館
2008.01.13