そして14時から、ARENAでライヴ・アクトがスタート。昨年はグループでの活動を休止してメンバー個々の活動に力を入れていたリップだが、その成果を見せつけるように、それぞれの個別プロジェクトのアクトが展開されていく。まずトップを飾ったのが、ILMARIがヴォーカルを務めるバンド=The Beatmoss。パンク、オルタナ、ミクスチャー、ファンクなどを雑食的に吸収した音のダイナミズムは去ることながら、メロディアスな楽曲でILMARIは伸びやかな歌声を届けてみせる。ギター片手に熱唱する姿もさまになっていて、90年代オルタナ・バンドを彷彿とさせる骨太なロック・アクトを完遂させていた。
そんなILMARIの「次は伝説の人たちの登場です!」という前振りから、ステージ下手側のフロアに設けられたDJブースに登場したのが、FUMIYA+SUによる本邦初公開のDJユニット=GANGURO――なんだけど、ふたりともちょっと様子がおかしい。ホストみたいな真っ白なスーツを着て、頭にはホスト風のカツラ。しまいには本当のホスト集団が登場し、豪快なシャンパンコールを披露する。どうやらGANGUROのコンセプトは、伝説のカリスマホスト(SU)と新人ホスト(FUMIYA)によるDJユニットということらしい。SUはシャンパン一気まで行ってフロアを沸かせていたけれど、いざプレイに入るとバッキバキの硬質なエレクトロで押しまくっていて、そのギャップがおもしろかった。
続いて、猫の被り物をかぶってARENAに現れたのは、PES。被り物を脱いでライヴをスタートさせると、ボサノバやファンクの空気を纏ったリラクシンなサウンドでフロアに爽やかな風を吹かせていく。中盤では1stアルバムに参加したWISEとTarantula(from Spontania)が登場し、力強いライムを披露する一幕も。とはいえ、全体的にはポップな歌モノを中心とした構成によってソロ・アーティスト=PESのキュートな魅了が全開となった、ほっこりと温かなステージだった。
Remixを手掛けたリップの“熱帯夜”他、きゃりーぱみゅぱみゅの“にんじゃりばんばん”やPerfumeの“レーザービーム”など自作曲を鮮やかに繋げてフロアを高揚させた中田ヤスタカ(capsule)のDJアクトを挟んで、RYO-Z擁するアスタラビスタが登場。Adios a.k.a YUTAKA(from Full Of Harmony)/Goof(from SOFFet)/DJ ISO(from MELLOW YELLOW)/AKALITTLE(from KICK THE CAN CREW)/MASSATTACK(from Spontania)という、すでに各方面で活躍中のパーティー野郎たちから成るユニットだけに、そのライヴ巧者ぶりがハンパない。鋭いスクラッチと5MCによる流れるようなフロウが淀みなく展開する攻めのアクトで、満場のフロアをアゲにアゲまくっていた。
5人それぞれに華を持たせたパフォーマンスの連続で各々の魅力を炸裂させながら、そこにダレた空気は皆無。サウンド、ライム、ダンス、MCのすべてがライヴのテンションを加速させるツールとして無駄なく機能していて、まるで「第一級のエンタテインメントはこういうものですよ」というお手本を見せつけられているような気分になる。ライヴを観るたびに彼らの“魅せる”スキルの高さには驚かされてきたが、その健在っぷりに、思わずニンマリとさせられてしまったオープニングであった。
その後もキラー・チューンの乱れ打ち。“太陽とビキニ”あり、“楽園ベイベー”あり、さらには今年リリースされた“ロングバケーション”と“ジャングルフィーバー”ありと、新旧織り交ぜた出し惜しみないセットリストでフロアをノンストップでアゲていく。“熱帯夜”の終盤でFUMIYAがトチって演奏を中断したり、“Good Day”の冒頭でILMARIが歌詞を間違えて最初からやり直したりと、初の主催フェスにテンションが上がりまくってしまった故の(?)ミスもいくつかあったけど、それも彼らにとってはご愛嬌。すかさずメンバー間でツッコミを入れながら、ミスを笑いに変えて享楽的なエネルギーに変えていく手腕は、さすがとしか思えない。本編ラスト“JOINT”でフロア中のタオルが一斉に振り回されたクライマックスに至るまで、1ミリの隙もない、圧巻のエンタテインメント・ショウが作り上げられていた。
その後は、この日39歳の誕生日を迎えたRYO-Zのバースデー・セレモニーへ。DJブース前方にはシャンパン・タワーが用意され、再び登場したホスト集団のコールによって、RYO-Zが勢いよくシャンパンを注いでいく。そのシャンパンで祝杯を上げた後は、ホストに促されてメンバーそれぞれが祝福コメントを述べたり、バースデー・ケーキが登場してフロア一丸の「♪ハッピーバースデー」が歌われたりと、盛りだくさんの内容で宴は終了。ホストの勢いに気圧されながらも半ばヤケクソ気味に場を盛り上げまくるメンバーの姿と、その中心で照れ笑いしまくるRYO-Zの姿がなんとも微笑ましい、とてもピースフルな時間だった。
ライヴの途中では、「毎年このフェスを開催していきたい」と言っていたRYO-Z。この日の盛り上がりを見ても、なにより単にゲスト・アーティストを迎えたイベントではなく、5人それぞれが120%の力とアイデアを出し合って、リップにしかできない一体感を築き上げているところが素晴らしかった。今夏は各地の夏フェスに出演し、アルバムも制作中の彼ら。その動向と共に、来年もこの「真夏のWOW」で出会えることを楽しみに待ちたい。(齋藤美穂)