【インタビュー】戦い抜け、Conton Candy──さらに自分らしく、聴く者と心を通わせるアルバム『melt pop』。ライブバンドとして堂々の決意表明!

【インタビュー】戦い抜け、Conton Candy──さらに自分らしく、聴く者と心を通わせるアルバム『melt pop』。ライブバンドとして堂々の決意表明!

“ファジーネーブル”で「ポップなバンド」「キャッチーなバンドだ」って言ってくださることが多くなって。配信されてる音楽のイメージとライブバンドとしての私たちらしさの距離を、もうちょっと近づけられないかなと思った

──タイトル『melt pop』の意味は? ここまで話してくれた「取り繕わない」ということと関係してるのかな。

紬衣 “ファジーネーブル”は入口になってくれた曲でもあるし、フェスとかに出させてもらうとこの曲がいかに力を持ってるかを思い知らされるんですけど、「ポップなバンド」「キャッチーなバンドだ」って言ってくださることが多くなって。「音源とライブが全然違って、2度ハマる感覚になる」というふうに言ってくださる方とかもいるんですけど。どうにかして配信されてる音楽のイメージとライブバンドとしての私たちらしさの距離を、もうちょっと近づけられないかなと思っていて。ポップの要素は自分たちのルーツとしてあるので、どうあがいてもそれぞれ出てくるし、そこは大事にしつつ。「melt」という言葉は、溶けるとか、染み込んでいく、というふうに捉えられるなと思って。ポップ要素を取り入れつつも、ライブハウスではこういう音楽や熱量を届けてるんだよっていう、そこの帳尻を合わせようという意味のタイトルになりました。

──ライブを観たことある人なら3人がロック魂溢れる熱いライブをすることを知ってるけど、それが伝わりきってないことにもどかしさがあったと。

紬衣 中身に気づいてそう言ってくださる方は、めちゃめちゃありがたい。

彩楓 嬉しいよね。


──踏み込んで訊いちゃうと、何が理由で、そのギャップを埋めたいと強く思ったのだろう。

紬衣 なんて言うんですかね……自分にとってのルーツの場所はライブハウスで。ライブって、言葉にできない熱量みたいなもののギブアンドテイクで成り立ってるじゃないですか。自分たちが渡して、それが大きければ大きく返してくれるし。それが感動を生んだり、「奇跡」「伝説の日」みたいになったり。そういうフロアをもっともっと作っていきたいってだけなんですよね。でも、自分たちだけが渡しちゃってるんじゃないかなって、どうしても思う部分があって。“ファジーネーブル”とか私たちのポップな楽曲を聴いて来てくれる子もいて、その中には「熱いライブをするんだ……どうしていいかわからない」ってなっちゃったりする子も、もしかしたらいるかもしれないし。自分たちがやっていきたいライブバンド像と、楽曲を聴いてくださってライブに来てくれる方たちのマインドを、もっとひとつにしていきたいという感じなんですよね。

彩楓 そう、これが言いたかった。

──熱量の塊をぶつけて、返してもらって、というフロアをもっと作りたい。

紬衣 そういうコミュニケーションみたいなものを、もっとできればいいなっていう想いです。

──しかもポップな曲から入ってくれた子たちに、ライブハウスの楽しさを伝えていけるバンドにもなりたいし。

紬衣 本当に。このアルバムを聴いてもらえれば、「こういうライブなのかな」「パンクの曲も入ってるんだ」とか、どの入口から聴いてもらっても自分たちが表現したいものを汲み取ってもらえるんじゃないかなと──わがままですけど、正直、思ってます。

──今の話を聞くと、アルバム1曲目にConton Candyなりのパンクロック“相槌”を置いたことも納得です。

紬衣 最後の2行《わがままのまま生きていくの/私のこれから》とか、自分たちの覚悟やプライドに合ってる歌詞だったので。あと、歌始まりっていうのが、アルバムの1曲目だとドキッとさせられるんじゃないかなって。

──《相槌にも音があったら君と/あとどのくらい一緒にいられただろう》はどんな発想から出てきたんだろう。

紬衣 ライブで、別に言葉にしなくても笑顔とか泣いてる表情ひとつだけでお客さんの感情が汲み取れたりするじゃないですか。伝わってるんだなっていうこともわかったり。ライブハウスは自由なのでどんな楽しみ方をしてもいいと思っているんですけど、拳に乗せてウオーッてやったりすることも、アーティストとのコミュニケーションのもう一歩になると思っていて。

──まさにさっき話してくれた想いが全部この曲に入ってるんですね。ドラムとベースも相当気合い入ってるし。

彩楓 ドラムもど直球にいきました。アルバムの中でも特に気合いの入ったドラムって感じです。

楓華 ベースもど直球に弾きました。超シンプルなんですけど、意外とこのアルバムでいちばん難しいベースがBメロに入ってて。まっすぐ刺さるような歌詞の曲は、まっすぐシンプルに弾くって決めているんですけど、この曲のBメロだけはあえてエグいフレーズを入れてみました。

──“爪”もConton Candyなりのパンクで、熱量までも録音されてます。

紬衣 ライブでできた傷って、すごく愛おしくなっちゃうというか。それも思い出のひとつじゃないですか。爪が欠けてるのを見ると、それほど自分はさらけ出せたんだ、それほどに感情が乗ってたんだなって思えるんですよね。感情が乗ってライブをしてる時って視界が揺れていて、そういう時が自分らしくできている気がするので、それを《歪んだ視界》と表現しました。

──その意味とライブ感を、1分6秒の音源に込めているという。

彩楓 ズボンの裾もシャツの袖も、たくし上げてレコーディングしました(笑)。ずっと2ビートで、1分台の曲だからなんとかエネルギーがもった、っていうくらいの新しい挑戦で。クリックを使わずにやったのも初めての試みでした。

自分がそれほどまでに銀杏BOYZというバンドに救ってもらったんだっていうことを、ただただ言葉と曲にして、次は自分が誰かを救うきっかけになれたり、誰かの支えの曲になればいいなって

──他の曲にも触れると、“BABY BABY”。紬衣さんが大好きな銀杏BOYZの曲を自分のタイトルに掲げるって、相当な覚悟がいりますよね。

紬衣 おっしゃる通りです。書いてしまいましたね。この曲は、言葉を選ばずにいうと炎上覚悟というか。自分がどん底にいた時に救ってくれたのが銀杏BOYZで。峯田(和伸)さんの不器用な優しさ、綺麗事じゃない優しさに本当に救われた時期があって、それがあまりにも大きすぎたから、それを誰かに還元したいなと思って。自分がそれほどまでに銀杏BOYZというバンドに救ってもらったんだっていうことを、ただただ言葉と曲にして、次は自分が誰かを救うきっかけになれたり、誰かの支えの曲になれればいいなって。そのアウトプットがどうしてもしたくて作りました。新曲6曲の中でもすごく大事にしている曲です。

──しかもこの夏、ROCK IN JAPAN FES.で初披露してくれて。

紬衣 自分にとっては原点のイベントなので、ここしかないと思ってやらせていただきました。ライブやワンマンをやらせてもらって、自分たちの音楽を待ってくれている人がいると思わせてもらえる機会が増えたので、今なら言葉にできるかもしれないと思って。

──待ってくれている人たちを自分の目で確認できて、聴き手に対する安心感や信頼を得たことが、歌いたいことの変化のきっかけとして大きかった?

紬衣 めちゃめちゃ大きかったと思います。ずっと自分の内面をさらけ出すような歌詞が書けなくて。恥ずかしくて無理だったんですけど、だんだん書けるようになってきました。取り繕わなくていいんだ、かっこつける必要ないんだなって気づいたことが大きいのかもしれないですね。


──“TOKYO LONELY NIGHT”もお客さんのことをイメージして書いた曲?

紬衣 この曲は……特定の人がいて書いたんですけど(笑)。本当にひとりぼっちの時に救ってくれた人がいて……その人のことがただただ好きで書いたっていう感じでしたね。書いてみちゃおっかな、みたいな。

──音楽でさらけ出そうと決めたからこそリリースできた曲なんですね。

紬衣 はい、それもあると思います。

楓華 アルバムの中でいちばん好きです。まっすぐなラブソングで、キュンキュンします。あと、自分が弾きたいベースが素直に弾けたなって思います。自分の好きな音楽からインプットして、きれいにアウトプットできました。

──このアルバムが届けば絶対にライブでのコミュニケーションは変わるでしょうね。どんなツアーにしたいですか?

紬衣 ライブへの期待値やプレッシャーは、ツアーが近づくにつれて大きくなるような気がしているんですけど、Conton Candyが次のフェーズに入ってより強くなれる、より大きくなれる、そんなツアーにできたらいいなって思います。

彩楓 最大規模のツアーなので、このフルアルバムを背負って、たくさんの人により届くように頑張りたいです。

楓華 今まで来てくれていたお客さんと、新しく来てくれるお客さん、そのどちらにも今の私たちを見せられるライブにしたいなと思います。ありのままの自分を出せるようにしたいです。

ヘアメイク=アリガミナミ スタイリング=亀山野々香

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