新星K:reamが2021年の連続リリースと『changes』を通して伝えるものは何か?――今こそロックを問う者たちの飽くなき挑戦

新星K:reamが2021年の連続リリースと『changes』を通して伝えるものは何か?――今こそロックを問う者たちの飽くなき挑戦

この2020年代に、驚くほど真剣かつ闇雲に「ロックとは何なのか?」と自問自答を繰り返しながらひた走るバンドがある。その名はK:ream。内川祐(Vo・Pf)と鶴田龍之介(G・Vo)によって2018年に結成され、自身のレーベル「K:trad records」から発表したシングル“See The Light”(サポートミュージシャンを迎えての再レコーディングバージョン)で広く注目を集めた。2021年2月にデジタルEP『asymmetry』で晴れてメジャーデビューを果たした彼らは、それから約9ヶ月の間に『hologram』、『rhapsody』と作品を連続リリース。この11月10日には、早くも4作目となるEP『changes』を放つことになった。まるで生き急ぐようなメジャーデビューイヤーのリリース攻勢は、彼らが作品ごとにテーマを掲げ「ロックとは何なのか?」という問いと格闘し続けた痕跡でもある。力強くも色気のある歌声を誇りつつ、今にも自分自身の殻を突き破りそうなエモーションを迸らせる内川。一方で鶴田は鮮やかにコントラストを描くボーカルを引き受けながら、内川の内面に潜むロック性を引きずり出すかのようにギターを奏でる。特性も役割も異なるふたりは、まずその非対称的な関係性を『asymmetry』として打ち出し、そして今度はリスナーに呼びかけK:reamの視界を共有するように『hologram』を、また狂気と紙一重のロマンティシズムを植えつけるように『rhapsody』を届けてきた。K:reamが表現しているのは、生身の対話によってこそ初めて明らかになる人それぞれの個性であり、そして《流行曲は実に無力だ/あなたは影で泣いてる》(『asymmetry』収録曲“Clown -道化-”より)といった、「あなた」の中の押し殺された心の軋みである。ポスト・ビートミュージック/ポストEDMの時代に結成されたK:reamが、はみ出すほどの情感に満ちたメロディの起伏や、無防備なほどのロックサウンドにまで説得力を宿らせているのは、それらが「ロックとは何なのか?」という問いを思考と肉体に反射させた産物だからなのである。最新EP『changes』は、終わらない自問自答とともに変貌/進化してゆくK:reamの姿をありありと伝えている。先行配信曲のひとつであり、目下の最新MVでもある“終わりなき世界”では、今どき珍しいほどシンガロング積載量の大きなビートロックを転がしながら《悲しみのかけらが ほら 美しく見えたんだ/人は時代を塗り変えてゆく》と歌っている。EP収録の4曲中、“終わりなき世界”、“光と影”、“Dark Oak”の作曲を鶴田が手がけており、とりわけ鶴田が作詞とリードボーカルも担当した“Dark Oak”の繊細かつリリカルな作風は新鮮だ。そしてEPを締め括るのは、こちらも先行してMVが公開されていた“Voices”。作詞・作曲は内川であり、《あの日の僕はどんな声をしていた?/静寂がうるさくて 名前さえ忘れた》という歌い出しからして、彼自身の変貌に自覚的だ。ロックは歴史の中で、時代の福音にも、時代の闇を体現するモンスターにも成り得てきた。今後どうなるかなんて、誰にもわからない。ただ問い続ける者だけが、その道筋を見ることができる。K:reamは、まさにそれを実践しているロックバンドだ。(小池宏和)
次のページMV・リリース情報
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on